京都を拠点に活動する男女混成バンド、「バレーボウイズ」。歌謡曲を思わせるメロディーと朗かな7人の歌声。聴く人の胸に響くそのハーモニーは、それぞれにとっての青春を思い起こさせ、幅広い世代から愛されているバンドだ。
メンバーのネギさん(Gt./Vo.)と、高山燦さん(Gt./Cho.)はバンド活動だけにとどまらず、音楽・デザインなどの分野でそれぞれ活動し、自分の好きなことを続けている。詳しくはこちら。
そして、仙台にも「好き」を体現し、続けている20代がいる。一番町のアーケードを抜けた先にある古着屋「Beagle」のオーナー夫婦、タツロウさんとアンナさん。
今回は、好きなことを続けるそのスタイルに共鳴しあった同世代4人が自由にトーク。仙台に暮らす皆さん、全国のバレーボウイズファン、古着好き、音楽好き、カルチャー好き、全員必見!
自分たちのお店を持つ夢を叶えオープン!
古着よりも音楽が好き……な、若き夫婦のお店
バレーボウイズ Gt./Cho.高山燦さん(以下、高山)
おはようございます! バレーボウイズの高山です。
バレーボウイズ Gt./Vo.ネギさん(以下、ネギ)
ネギです。仙台に見逃せない古着屋があるってことで朝から来ちゃいました。
古着屋Beagle アンナさん(以下、アンナ)
いらっしゃいませ! 古着屋Beagleのアンナです。遠くから来ていただいてありがとうございます。今日はどうやって仙台まで来たんですか?
高山
夜行バスっすね。
アンナ
うわぁ、長旅だ。
古着屋Beagle タツロウさん(以下、タツロウ)
僕らも東京までライブを観に行く時は夜行バスに乗るけど、お尻が痛くなるよね。
ネギ
そうなんすよ。お尻がシートの形に変形してる気がする。
― 2018年3月にここ、仙台・一番町にオープンした古着屋Beagleですが、お店を開くにはどんな経緯があったんですか?
タツロウ
もともと二人で古着屋を一緒にやりたいと思っていたんです。大学を卒業したときに、古着屋開店のための資金を貯めたいけど、東京へ遊びにも行きたい。だったら東京に行こうと思って、4年間東京に住んでいて。とにかく音楽が好きだから、大好きなミュージシャンのライブを観たりしながらバイトもしてね。古着屋は地元の仙台で開きたかったので、お金も貯まったしそろそろ戻ろうかって話して、仙台へ帰って来てお店をオープンしました。東京には既にいろんな人やモノが溢れているけれど、地元の街を自分たちの手でつくっていけるかなって思ってね。
アンナ
東京ではライブをたくさん観たし、バイトもたくさんしたよね。
古着屋Beagleオーナーのタツロウさんとアンナさん
ネギ
東京は選びきれないほどいろんなライブをやっているもんなぁ。
タツロウ
本当にね。でも正直、仙台だとミュージシャンがライブをしに来るのを待っていてもなかなか来なくって、それがもどかしい。だから自分達で“THE WORD”っていう名前でライブイベントを企画して、好きなミュージシャンを呼んだりもしているんだよね。 vol.1は2018年の7月、東京から「ラッキーオールドサン」っていう2人組のバンドを呼んで、このお店で歌ってもらったり。
ネギ
おぉ!
高山
みたいわ〜!
タツロウ
もうすぐvol.2をやるんだけれど僕らはヒップホップも好きだから、今回はローカルのラッパーと、東京からもラッパーを呼んで、どちらも均一に楽しめるようなライブを企画してる。これからも、古着屋をやりつつ、音楽をはじめとするカルチャーを大切にしていきたいな。古着はもちろん好きだけど、やっぱり音楽の方が好きだから。
一同
(笑)。
アンナ
正直に言うとそうなっちゃう(笑)。
タツロウ
古着はただのモノだけれど、音楽はアートで感動できる。あくまで古着も音楽もカルチャーの中の1つって考えてるんだよね。
アンナ
あとは古い音楽も好きだから、当時のミュージシャンが着ていた服とかをセレクトして置いてみたり。
タツロウ
僕らみたいに20代の若い世代でこういうことやっている人はなかなかいないけど、同世代にだと伝わりやすいと思うし。と言っても、ただ大好きな趣味のことをやってみている状態なんだけれど。
ネギ
激アツやな〜!
高山
これは激アツや。
アンナ
そして、自分たちが生まれ育ったこの街にいる、同じような考えを持つ人たちと一緒に新しいカルチャーを作りたい。東京とは違う「地方都市の良さ」を発信できたら良いな。そんなことも考えながら、イベントをやったりしています。
今のものも、古いものも
繋がっているから楽しいってことを伝えたい
― ネギさんと高山さんは、古着は好きですか?
高山
好きっすね。
ネギ
特に大学の頃はよく着ていました。京都の古着屋にも行ったりするしな。
アンナ
京都は古着屋多そうですね。
高山
めちゃくちゃ多いよな。
アンナ
仙台も古着屋は多いんですけど、うちの店みたいにカルチャーを主張している、趣味性が強い店はそんなに多くなくって。
高山
でも自分と同世代で、しかもこんなに近い趣味の人らがやっとるお店って京都にも全然ないよな。
ネギ
ない! まじでない。
タツロウ
古い音楽はもちろん、インディーの新しい音楽もすごく好きで。
高山
うんうん、カウンターの後ろの棚にね、いいレコードが置いてあるのが見えるんですよ……。
タツロウ
「Old is new」つまり、古いものは新しい、新しいものは古いものから作られるって考えているんだよね。古着が好きな人は、古い音楽ばかり好む人もいるけれど、新しい音楽は古い音楽のリミックスでできているし、同じくらいいいものがある。それを聴かないのはもったいないと思う。どんどんいろんな音楽を聴いて試して欲しい。
高山
確かに京都のおっちゃんたちで、インディーでずっといい音楽を続けている人もいるんですよね。
アンナ
きっと私たちが知らない人たちもたくさんいるだろうね。無名でもクオリティーが高い音楽をやっている人はたくさんいるし、いい音楽だから売れているかっていうとそれは関係ないよね。
タツロウ
「Old is new」っていうのは古着も同じで、僕らが古着屋を開いたのは、古着の中から新しい価値観を提案していきたいと思っているから。今のものも、古いものも繋がっているから楽しいってことを伝えたいんだよね。若い頃からそれに気付けば、能動的にいろんなことに興味を持って、自分の好きなものを拡げていける。それって楽しいことだよね。
アンナ
お二人の好きなミュージシャンは?
ネギ
最近はよくASKA聴いてる。
タツロウ&アンナ
ASKA?! CHAGE and ASKAのASKA?
ネギ
そうっす。ASKAはほんまに良すぎて。歌詞とか。
高山
バレーボウイズの曲は全部ネギちゃんが作詞作曲をしているから、どんなのが好きですか? って聞く人が多いけれど、みんな拍子抜けを食らうよな(笑)。
ネギ
あとは、浮(buoy)っていう東京のシンガーの歌がめちゃくちゃ良くって。
アンナ
へ〜! チェックしてみよう。高山くんは?
高山
好きなミュージシャンやバンドは色々いるけれど、昔から好きなのはジュディ・シルとか。
タツロウ
あ〜! いいよなぁ。特別だからジュディ・シルの曲は。
高山
そうなんすよ、特別なんですよね。バックボーンありきっていうか。
ネギ
逆に二人の好きなミュージシャンは?
高山
知りたいなぁ。
アンナ
私は、岡村ちゃん(岡村靖幸)が狂おしいほど好きで。あとはBUCK-TICKっていうビジュアル系バンドが好き。
ネギ
BUCK-TICKはやばい!
タツロウ
僕はビートルズとか、クラシックなものが好き。最近の音楽も好きだし、andymori(アンディモリ)とか。ポップなものが好きかな。
ネギ
ポップなもの、大好きっすわ。
チェーン店より喫茶店のような存在でありたい
流行だけに左右されず、「自分だけの特別」を持つ楽しさを
― ではBeagleの二人から、読者に向けて一言お願いします! どういう人に来て欲しい?
タツロウ
誰にでも来て欲しいっていうのはあるけれど、個人でお店をやる意味って、チェーン店とは違うことをするのが意味になると思うんだよね。例えばファストフード店みたいに安くて薄利多売なお店もあっていいと思うけれど、喫茶店みたいに、ここに行きたいって選んで行くお店の需要も必要だと思う。喫茶店みたいなお店になりたい。
ネギ
最高っすね……。
タツロウ
それができるかどうか分からないけれど。
アンナ
実現できたらいいよね。
タツロウ
今は何百円っていう安いものがたくさん溢れているから、若い子たちは簡単に手の届くものしか取ろうとしないんだよね。いわゆる流行っているものしか摂取しない。そういうのがもったいないと思っていて。安いものも、それはそれでいいけれど、そうじゃないものもあったほうが両方いいっていうか、安いだけじゃ飽きちゃうよっていうのが伝わる人に来て欲しいかな。志を持つというか、これだけは自分の特別っていうのがあったほうが楽しいんじゃない? って思う。値段だけじゃ無く気分の上がるものを探すというか。
ネギ
今こうやって喋っていて、それはすごく感じる。お気に入りの一着を探しにも来たいし、また喋りにも来たい。
アンナ
いつでも来て欲しい〜!
ネギ
普段は安いものばっかり買っているけど、ここは知っておきたいなって思う。これまではこんな風に思うお店ってあんまりなくて、古着屋とかに行っても高いな、って帰っちゃうことが多かったけれど。
アンナ
きっと共通の趣味があると違いますよね。
ネギ
確かに! ここには話題の入口がたくさんあるんですよ。例えばCDが置いてあったりだとか。「あ、これ!」って会話も広がる。
高山
流星(バレーボウイズ Vo.)や九鬼くん(バレーボウイズ Gt./Cho.)を連れて来たいなぁ! バレーボウイズのメンバーにも自分の好きなことを追求している、最高なヤツがいるんですよ。
ネギ
二人ともめちゃめちゃ好きやろうな。
高山
仙台に来る理由ができたな……。
アンナ
嬉しい。また、いつでも遊びに来てください!
タツロウ
ネギくんも高山くんも、二人も自分の好きなことをやり続けていて、音楽をやっている人はすごいなって思う。
アンナ
私たちのいちばんのリスペクトはミュージシャンだから。古着屋なのに何で? って感じだけど(笑)。
「仙台はちょっと控えめで、地方ならではの個性が感じにくい街。けれど周りを見渡せば、東京の街のレベルの高さに負けないような、新しい波を起こしている地方都市は沢山ある。だから僕らは好きなカルチャーを発信して、仙台の街を楽しくしたい。」Beagleのタツロウさんとアンナさんは、口を揃えてこう話す。
仙台も京都も、東京とは離れた地方の街。自分の街でやりたいことや好きなことを、自分のためにやり続ければ、どこかの誰かの心に届き、また新たなパワーが生まれる。それはきっと、とてもいいサイクルなのだ。
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あたらしくて懐かしいみんなの青春歌う 京都のバレーボウイズ
Beagle Used Vintage
MENS & LADIES SELECT SHOP 住所 仙台市青葉区立町21-1(2020年4月に現住所に移転) 営業時間 11:00~20:00 定休日 不定休 https://beaglesendai.thebase.in/ Twitter @beagle_sendai Instagram @beagle_sendai
バレーボウイズ
京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために2015年に結成。異端でありどこかスタンダード。ノスタルジックで歌謡ライクなメロディと歌のハーモニーを青春に封じ込め、男女混声7人7様のキャラクターが奇跡的なバランスをもって歌と演奏を聴かせる。2017年、ライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリ、「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」ROOKIE A GO-GO枠で初出演。昨年7月にアルバム「なつやすみ’18 猛暑」を発売。全国の大型フェス、サーキットフェスにてその特異なLIVEで人気を集めている。 http://volleyboys.kyoto/ Twitter @volleyboys_band Instagram @volleyboys_official
新作リリース!
3rd mini album 『青い』
2019年4月3日(水)発売
こちらのジャケットデザインも、高山燦さんによるもの。
[収録曲]
1.ひとのこ
2.渚をドライブ
3.ひがしのまち(album ver.)
4.若者たち
5.よわむし
6.タイトルコール
7.人間大好き
1800円+税 / PECF-1170 / felicity
バレーボウイズがアラバキに出演決定!
「ARABAKI ROCK FEST.19」
2019年4月27日(土)・28日(日)
宮城・エコキャンプみちのく
https://arabaki.com/
撮影 三塚比呂