歌謡曲を思わせるメロディと朗かな6人の歌声。聴く人の胸に響くそのハーモニーは、それぞれにとっての青春を思い起こさせる。そんな彼らは何者か?
答えは、京都を拠点に活動する男女混成バンド「バレーボウイズ」! 懐かしく感じるサウンドにも関わらずメンバーはみんな20代というのだから、それがまた新鮮。同世代だけでなく幅広い世代から愛されている。
さらにバンド活動のほかにも、音楽・デザイン・芸術などの分野でそれぞれ活動し、自分の好きなことを追い続けているメンバーも。いわゆる「普通」の生き方にはまっていないところも、バレーボウイズの魅力のひとつ。
昨年、2018年12月にソロでの弾き語りライブのため来仙していたバレーボウイズのネギさん(Gt./Vo.)と、高山燦さん(Gt./Cho.)に、仙台の街でお話を聞いた。 この日行われたライブの様子も写真でおすそ分け。皆さま、お見逃しのないよう!
学園祭に出たい!
そのためだけに集ったメンバーで結成
京都のあつ〜い男女混成バンド
それがバレーボウイズ
― おはようございます! ようこそ仙台へ。ネギさん、頭までぐるぐるにマフラーを巻いてますけど、12月の仙台はやっぱり寒いですか?
バレーボウイズ Gt./Vo.ネギさん(以下、ネギ)
寒いっすね。京都は1、2月が寒くなるのでまだ暖かくって。
― でも今日の仙台は暖かい方ですよ。
さて、今日はお二人ともソロで弾き語りライブに出演されるとのことで、はるばる仙台まで歌いに来てくださいました。せっかくなので、バレーボウイズについてはもちろん、ネギさんと高山さんご自身のお話まで、たっぷり聞かせていただこうと思っています。よろしくお願いします! では、まずはバレーボウイズについて、一言で紹介をお願いします。
ネギ
一言!?
バレーボウイズ Gt./Cho.高山燦さん(以下、高山)
バレーボウイズについて一言か。うーん(笑)。
― 活動拠点やメンバーなどについて、簡単に教えて欲しいです!
ネギ
本当に一言で表すのかと思った。「今年の漢字」みたいに(笑)。それなら簡単やな。バレーボウイズは京都を拠点に活動している6人組の男女混成バンドです。
バレーボウイズ 左上より、Gt./Cho.九鬼知也、Dr.武田啓希、Ba.ムコ、Gt./Vo.ネギ、Vo.前田流星、Vo.オオムラツヅミ、Gt./Cho.高山燦。2019年3月より、これまでサポートとして参加していたBa.のムコさんがメンバーに正式加入し、7人体制にパワーアップ
― ボーカルが3人、ギターも3人の編成って、珍しいですよね。初めてバレーボウイズのライブをみたときには、なつやすみの少年たちのようなあつ〜いパワーのある演奏に衝撃を受けましたよ。結成のきっかけは何だったんですか?
ネギ
僕らは京都精華大学に通っていたんですが、その学園祭「木野祭」に出演するために2015年に結成しました。みんなで出たいっていう、それがきっかけ。
― 学園祭だけのために結成したんですか?
ネギ
ほんまにそれだけ。木野祭は大物が出るイメージがあって。過去には「ハンバート ハンバート」や「でんぱ組.inc」、「BOREDOMS(ボアダムス)」とかが出ていたよな。僕らは特にBOREDOMSへの憧れが強くて。
高山
流星が木野祭のステージを組んだりしていたから、流星がネギちゃんに「ステージに出たいんやけど!」と相談したのがはじまりだよね。そこからネギちゃんがメンバーを集めて。
― すごく豪華な学園祭なんですね。メンバーの皆さんは、バレーボウイズを結成する前から音楽をやられていたんですか?どのようなつながりで集まったのでしょう。
ネギ
いや、本格的に音楽をやっていたメンバーはいなくて、うっすらですね。音楽に関わりがあった、ぐらいの感じ。
高山
メンバーはみんなネギちゃんの友達やったり、友達の友達だったり。
ネギ
その「うっすら」を僕が把握していたんですよ。学園祭や何かのイベントで演奏しているのをみたり、弾き語りをしているのを聴いていて。九鬼くんはイベントでフリーセッションやバケツドラムなんかをしているのをみて、面白そうな人だと思って声を掛けた。チャッキー(高山さんのあだ名)も、知り合う前に弾き語りをしているのをみたことがあったし。僕が色んなシーンでみていて気になった人や、面白そうな人に声を掛けて集まったメンバーではじめたのがバレーボウイズです。
これまでを、もう一度
丁寧にやり直した2018年
― バレーボウイズにとって、2018年はどんな一年でしたか?
ネギ
とにかくたくさんライブに出たなぁ。
高山
そうやなぁ。あとはこれまでやって来たことを、丁寧にやり直したって感じがする。僕ら2015年に結成して、2017年に1st EP「なつやすみ」を出したんですけど、2018年はもともと1st EPに収録されているものに新曲を3つプラスして、7月に2nd ミニアルバム「なつやすみ’18 猛暑」をリリースしたりだとか。
2nd ミニアルバム「なつやすみ’18 猛暑」に収録の「アサヤケ」(Official Music Video)
ネギ
きっとそれがライブのクオリティをあげたよな。ほんまにそれまでは学園祭のノリで続けてきたけれど、練習する日も決めて緻密に取り組んだ。バンドの仕組みを整理した年やった。
高山
バレーボウイズをはじめた時は、バンドで何かをやりたいっていう訳ではなく、ただ面白いからみんなで集まっていたけれど、目的をしっかり定めないとこれ以上進まないって感じたことが、この1年地道に頑張ったきっかけとしてあるかもしれない。
ネギ
そうやな。そしてそれをライブという場でみんなにみせて、定着していった。
高山
去年はとにかくバンドを頑張ったって感じがするね。
バンド活動にとどまらない!
音楽・デザイン・芸術と、
メンバーの自由で多彩な才能
― メンバーの中には、バレーボウイズとしてバンドの活動の他にも、それぞれ音楽・デザイン・芸術分野などで様々な活動をされている方もいると聞いています。具体的には、どんな活動をしていらっしゃるのでしょうか?
高山
僕はソロでも歌ったり、グラフィックデザイナーとしてデザインの仕事をしています。
ネギ
僕はとにかく音楽ですね。ソロでの弾き語りに力を入れています。
高山
Vo.の流星は個人でイラストを描いて個展を開いたりしています。
ネギ
他のメンバーも、Dr.の武田以外はみんな大学でデザインや芸術を勉強していたんです。僕もインテリアを専攻していて。僕と高山、流星がデザイン学部で、オオムラと九鬼くんは芸術学部。
京都の小さなコミュニティで
つながりを大切に
たのしくデザインをする暮らし
― デザインと芸術に分かれているんですね。では、高山さんとネギさんのお話をもう少し聞かせてください。まずは高山さん。大学でデザインを勉強されていたとのことですが、大学に入る前からデザインに興味があって、そういう道に進みたいと思っていたんですか?
高山
高校まではスポーツしかやっていなかったんですが、ある日突然美術系の、しかもグラフィックデザインをしようと思いついたんだよなぁ。なんでか分からんけど。
高山燦さん
― ちなみに、バレーボール?
高山
いや、サッカーとバスケ(笑)。
ネギ
バレーボール経験者、誰もいないっす(笑)。
― 大学入る前にグラフィックデザインをしようと思って、京都精華大学を選んだんですか?
高山
そうそう。それと行った画塾が面白くて、その時の先生が京都精華大学出身やったのもきっかけで。地元の大阪から京都に出てきました。
― そんなきっかけがあったんですね。それから大学でデザインの勉強をされて、現在グラフィックデザイナーとして活動されていますが、卒業後に企業へ就職することは考えなかったんですか?
高山
就職はしようと思わなくて。師事していた先生が現代アートをやっている人で、誰かのためにデザインをするだけではなく、自分の創作活動もしていたのを見ていて。そういう教えもあってか、大学を出てからすぐ就職とはならず、自分の活動をしようと思っていました。でも、卒業してからどうしようって、何もしていない時期もあって。大学の先輩たちが代々住み継いでいるシェアハウスで暮らしたり。けれど、その1年後ぐらいにバレーボウイズをはじめて、デザインの仕事も本格的にやりはじめた。バレーボウイズで楽しいことをやって、デザインの仕事でお金を稼いで、そんな感じで続けてきて今に至ります。
― 高山さんはバレーボウイズのCDジャケットやグッズのデザインもされていますし、他にも様々なイベントや展示のフライヤーなどのデザインもされていますね。デザインの依頼はどのように声が掛かるんですか?
高山
一つの仕事が次の仕事につながっていくことが多いですね。最近やったものだったら、kumagusuku(クマグスク)っていう京都のアートホステルで開催される演劇舞台のフライヤーをつくって欲しいと企画者から頼まれて。そうしたら、そのホステルの人がフライヤーのデザインを気に入ってくれて、今度はそこで自主開催しているフライヤーのデザインを頼まれて、みたいな。つながりですね。
京都はそういうコミュニティが狭いので、色んなツテで楽しくやらせてもらっています。
1st EP「なつやすみ」(2017)
1st album「バレーボウイズ」(2017)
カセットテープ、7inchレコード「卒業/ひがしのまち」(2018)
2nd mini album「なつやすみ’18 猛暑」(2018)
この日仙台で行われた弾き語りライブのフライヤーとチケットのデザインは、高山さんによるもの。当日の温かな空気感があたかも予想されていたかのような、イベントに寄り添ったデザイン
インテリアの卒業制作に
映像の作品を出して留年も!
「やりたいこと」を貫き通し
暇さえあれば音楽をする今
― やっぱり、つながりとは大切にすべきものですね。続いてネギさん。ネギさんは大学卒業後、就職したんですか?
ネギ
したっす。そもそも大学に6年くぐらい居たんですけど。卒業してからは、京都の映像制作の会社に就職しました。結婚式の映像や地方のバラエティ番組とか、小さいCMを撮ったり。
ネギさん
― それは入りたいと思って?
ネギ
紹介ですね。大学を休学してインターンに行っていたんですが、その会社の人が気に入ってくれて、それで決めました。ていうか、大学でインテリア専攻って言いながらも映像ばっかり勉強していて。
高山
それで一回卒業できんかったよな(笑)。
ネギ
そうそう。インテリアの卒業制作で映像の作品を出して、ブチ切れられて卒業できなかった(笑)。
― ありゃ〜(笑)。今も映像のお仕事は続けているんですか?
ネギ
バイトとして細く続けています。でもお金を稼ぐぐらいで、今の一番はほんまに音楽ですね。
ー ソロでも京都や大阪、東京など様々な場所でライブに出演されていますし、YouTubeで動画を公開したり。ネギさんのSoundCloudには常に新曲がアップされているような。とても精力的に活動されていますね。今日もここ、仙台で弾き語りライブが。今後が楽しみです。
ネギさんのソロ曲「TAIFU」。他にもたくさんの曲がYouTubeにアップロードされている
― ちなみにバレーボウイズの皆さんは関西方面の出身だったり、今は京都にお住まいですが、例えば東京へ出ようなどと思ったりしないんですか?
ネギ
僕は思ってないっすね。
高山
うーん、どっちでもいいかなぁ。
ネギ
京都で音楽をやることに対してプライドがあったり、こだわりがあるわけではないけれど、今現状は行かないって感じ。
高山
でもやっぱり京都にいたいな。住みやすいし、慣れたし。
ネギ
確かに、単純に住みよい。
高山
京都はコミュティが狭いから、それが広がって来て居心地が良いなって思う。知ってる人が増えたからかなぁ。ここに行けば誰がいるとか、こういう時はあそこの誰それに相談しようとか、色々と仕事にもつながっていく。それはすごくありがたいことですね。
4月3日にニューアルバムをリリース!
飛び立ちたい2019年は、良い予感!
― 話はバンドの方に戻りまして、いよいよ2019年ですが、バレーボウイズにとってどんな一年になりそうですか?
高山
僕ら、2019年4月3日に新しいミニアルバムをリリースするんです。自分らで言うのもアレなんですが、それがめちゃめちゃ良くて! バンドのはじまりが、ネギちゃんや流星がやりたいって言って集まったメンバーやから、役割とかも考えていなかったし、みんな好きなように演奏していたけれど、それが徐々に整理されていって。みんなの立場が明確になったし、音源として良いものが、ライブではなくて音として良いものができたなっていうのが実感としてありますね。なぁ、めちゃめちゃ良いよな。
ネギ
そう、めちゃめちゃ良くて。
高山
2019年はそれを引っさげて、春に飛び立ちたいね。4月から5月にかけてリリースツアーも回るし。
ネギ
飛び立ちたいな。何ならそのアルバムを出すのも楽しみやけど、その先、すごく良いものができる気がしてる。
高山
それはほんまにそう。
ネギ
それがいつになるか分からへんし、どんな形で出せるかも全く分からへんけど、メンバーみんなで話しながら良いものを作れる気がしてる。何て言うのかな、僕らが何回も自分で聴きたくなるような音源を出して、バレーボウイズのライブみたい!ってなる感じが一番良いと思うから。今でももちろんみたいけど、この調子で行けば、きっと何かが変わって行くと思う。
高山
良い予感に満ちています!
バレーボウイズの永遠の名曲「卒業」(Official Music Video)
ー 新しいアルバムのリリースが待てません! お二人からBGM読者に向けて、メッセージをいただけますか?
ネギ
読者にメッセージ……。むず!
高山
むず!
ネギ
でもとにかく、4月にリリースする新しいCDを聴いて欲しいよな。CD聴いてください!
高山
この春に出るので、聴いてください!
ネギ
きっと良いものにね、なっているはず。
高山
CDのジャケットも頑張って描いています〜。新しいグッズのデザインも頑張ったので、ライブ会場で見かけた時はぜひチェックしてください!
ー 今後も止まらないバレーボウイズの活躍が楽しみです。ネギさん、高山さんをはじめとしてバレーボウイズの皆さんは、大学時代から現在も、ご自身の好きなこと、やりたいことを続けながら生活をされていて、とっても魅力的だと感じます。実は仙台にも、ネギさんと高山さんと同じ20代で、同じように自分のやりたいことを続けながら暮らしている人がいるんです。紹介しても良いですか?
高山
もちろん! どんな人なんやろなぁ。
ネギ
楽しみやなぁ。
この日のライブは、ネギさんと高山さんの弾き語りツーマンショー。バレーボウイズとしては昨年何度か仙台でのライブ出演もあったが、ソロでは仙台初ライブとのこと。同じバンドで活動しているお二人も、ひとりギター片手に椅子へ座れば、いつもとは違う雰囲気でそれぞれの色に染まった歌声を響かせる。ネギさんと高山さんの力強くたおやかな歌声は、来場のお客さんを丸ごと包み込み、会場の「紅茶とお酒の店 teato」は、柔らかな空気でいっぱいに。そこにいたすべての人の心が温まるようなひとときだった。
仙台の「好き」を続ける20代の若者とは、一体誰のことか・・?彼らが営むとあるお店へ、ネギさんと高山さんと一緒に訪れました。その様子は、こちらの記事にて!
バレーボウイズ
京都精華大学の学園祭「木野祭」出演のために2015年に結成。異端でありどこかスタンダード。ノスタルジックで歌謡ライクなメロディと歌のハーモニーを青春に封じ込め、男女混声7人7様のキャラクターが奇跡的なバランスをもって歌と演奏を聴かせる。2017年、ライブオーディション「TOKYO BIG UP!」でグランプリ、「FUJI ROCK FESTIVAL 2017」ROOKIE A GO-GO枠で初出演。昨年7月にアルバム「なつやすみ’18 猛暑」を発売。全国の大型フェス、サーキットフェスにてその特異なLIVEで人気を集めている。 http://volleyboys.kyoto/ Twitter @volleyboys_band Instagram @volleyboys_official
新作リリース!
3rd mini album 『青い』
2019年4月3日(水)発売
こちらのジャケットデザインも、高山燦さんによるもの。
[収録曲]
1.ひとのこ
2.渚をドライブ
3.ひがしのまち(album ver.)
4.若者たち
5.よわむし
6.タイトルコール
7.人間大好き
1800円+税 / PECF-1170 / felicity
バレーボウイズがアラバキに出演決定!
「ARABAKI ROCK FEST.19」
2019年4月27日(土)・28日(日)
宮城・エコキャンプみちのく
https://arabaki.com/
撮影 三塚比呂