2019年4月17日に3作目のアルバム『旅するギター』をリリースした「ラッキーオールドサン」。篠原良彰さんとナナさんの二人は、アルバムのリリースを前に結婚し、これまでの活動拠点であった東京から、篠原さんの地元・四国へ移り住んだそう。一人から二人、東京から地方。二人の人生と音楽活動が新しくはじまった。ラッキーオールドサンのはじまり、アルバムについて、そして新しい変化について、気になるままに聞いてみた。
「ラッキーオールドサン」
バンドのはじまり
―― お二人がラッキーオールドサンとして活動をはじめたのには、どんなきっかけがあったのでしょうか?
Gt./Vo.篠原良彰さん(以下、篠原)
僕らはそれぞれ別々のバンドで活動していたんです。僕は「COPIES」っていうバンドで。
Vo.ナナさん(以下、ナナ)
私は「箔」というバンド。
篠原
6年くらい前に、東京・高円寺にあるライブハウス「U.F.O.CLUB」で対バンしたことがきっかけですね。その後、新しく結成したバンドで歌ってくれるボーカルが急遽必要になり探していた時に、ナナさんにお願いをしたんです。出演は一度だけの予定だったんですが、歌声がよくてもったいないなと。それならと新たにナナさんと組んだバンドが「ラッキーオールドサン」のはじまりです。
ニューアルバム『旅するギター』
いろんなまちで歌い、いろんな人に会いたい
―― これまで2枚のフルアルバムをはじめとし、ミニアルバムや7インチを多数リリースされてきましたが、今年の4月17日にリリースされたアルバム『旅するギター』は、二人のデュエットが印象的だったこれまでの作品に比べて、とてもバンドらしい1枚だと感じます。そのタイトルにも掲げられている「旅する」という言葉がアルバムを通して印象的ですが、その言葉に対してどんな思いがありますか?
ナナ
「旅」っていう言葉は、これまでの曲の中にもたびたび出てきていて。
一同
(笑)
ナナ
韻を踏んじゃった(笑)。
篠原
僕にとって「旅」には変化することや、自分を刷新するようなイメージがあると思っていて。旅をして、いろんなまちで歌いたいし、いろんな人に会いたい。極端な話、そのために音楽をやっているんですよね。誰とでも仲良くなりたいとは思わないけれど、音楽を通して特別な友達ができます。音楽自体が自分にとってはそういうものですね。旅に関連するかはわからないけれど、それは常に思っています。今日、仙台で一緒にライブをした「家主」(ラッキーオールドサンでサポートギターを務める田中ヤコブ(Gt/Vo)が在籍し、この日仙台でのライブで共演をしたバンド)も、まさにそんな存在です。
共演したバンド「家主」(Ba./Vo.田中悠平、Gt./Vo.谷江俊岳、Dr./Vo.岡本成央、Gt./Vo.田中ヤコブ)
―― ナナさんはどうですか?
ナナ
私も同じですね。とにかく旅をしたいと思っています。だから移動する曲を歌うことが多いのだと思うし、これからもいろんな場所へ行きたい。
アルバム収録曲の『旅するギター』
自分のことしか歌えない、嘘はつけない
―― 今日のライブでも感じましたが、二人の歌の力がとても強く、純粋に聴き手へ届いてくる感覚がするんです。胸にすっと入ってくるというか。そもそもお二人はなぜギターを弾き、歌を歌っているんですか?
篠原
理由は特に必要なくて、ただ歌いたいから歌っているだけです。きっとそれはナナさんも同じじゃないかな。
ナナ
そう思いますね。それに、自分のことしか歌えないし。
篠原
例えば違う主人公に当て曲をつくったり歌ったりすることもあると思うんですけど、自身の影のない作品はできないですよね。嘘はつけないというか。
―― 歌いたいから歌っているというのは本当に素敵なことですよね。お二人にとってはもしかしたら普通のことなのかもしれませんが、好きなことをやりたいからやっています、という人は意外に少ないような気もするんです。やりたくても諦めてしまったり、実際に行動できなかったり。
篠原
確かに特別だとは思っていないけれど、でもある意味特別なのかもしれないですね。僕らはそれを偶然見つけることができて、それがたまたま歌だっただけ。例えばミュージシャンもデザイナーも、古着屋も、みんなそれを見つけてやっている。あらゆる人にいろんな可能性があるんだと思います。
結婚、東京から四国への移住
人生も、音楽活動も次のターンに
―― このアルバムをリリースされる前にお二人は結婚され、これまで活動拠点だった東京から、篠原さんの地元である四国へ移住されたと聞きました。感じることや見るものなど、様々な変化がありそうですね。
篠原
東京にいた時はいろんなことに追われて焦ってしまうこともあったけれど、地元へ戻ってからは気持ち的にも余裕がでてきて、音楽により向き合うことができている感じがしています。けれどこれで全部解決! というわけではないし、その変化を大事にしながら楽しんでいきたいと思いますね。
ナナ
私はやっぱり、ずっと住んでいた東京を離れるのはちょっと心配があったけれど、篠原さんといっしょに音楽をするならば四国に行って正解だったと思っています。これからどうなっていくのか楽しみです。
篠原
音楽活動が次のターンに入った感じがします。いまは外国でライブをしたいんですよね。言葉が違うところで日本語の音楽をしてみたい。「旅」をしながら。
―― 様々な場所で歌っていく中で、『旅するギター』がきっと、どんどんいろんな人の元に届くのだろうと思います。お二人はどんな人に聴いて欲しいですか?
ナナ
聴いてもらえるのなら、どんな人でもうれしい。
篠原
基本的に、僕らは他人第一に歌を作っていないんですよね。サービスやボランティアで歌っているわけじゃないし、説教がましいのも好きではない。自分のつくった音楽を、こんな風に聴いて欲しいですっていうのはなくて。アルバムを制作するときには、その時に持っている音を良い作品に落とし込もうと精神的には取っ組み合ってつくっているので(笑)。完成したあとは誰にどんな風に、どんな思いで聴いてもらってもうれしく思います。
『旅するギター』リリースツアー
5/25仙台編 at 誰も知らない劇場
会場は、今年、2019年4月にオープンしたばかりの「誰も知らない劇場」。ここは仙台市民や映画ファンから愛されていたが、惜しまれつつ昨年閉館した「桜井薬局セントラルホール」を改装した劇場だ。映画館時代の名残である赤い座席に座ると、自然に背筋が伸びて、二人の歌へ耳を傾ける準備ができてくる。
この日のライブは、篠原さんとナナさんによる二人のデュエットからスタート。サングラスをかけて登場した篠原さんの姿が印象的で、なぜかその姿に自然と笑みがこぼれてしまう。
Vo.ナナ
Gt./Vo.篠原良彰
篠原さんのギター、ハーモニカとともに、透明感があるナナさんの歌声が繊細かつしっかりとした力を持って会場に響いていく。ナナさんの声は、音源で聴くよりもはるかに力強い。
2人で『坂の多い町と退屈』、『魔法のことば』の2曲を歌い、3人のサポートメンバーが加わる。今作のリード曲でありアルバム名にも掲げられている『旅するギター』を演奏。
サポートメンバーのGt.田中ヤコブ、Ba.渡辺健太、Dr.岡本成央が加わる
仙台でのライブは今回が4回目だというラッキーオールドサンだが、バンドセットでのライブはこの日がはじめて。篠原さんとナナさん二人のアコースティックライブしか知らなかった人は、それは大きな衝撃を受けたに違いない。ラッキーオールドサンはロックバンドである。
ライブ中のMCで「今日は落し物したり失敗ばかりしている。」と、少し落ち込んだ様子で篠原さんが呟いた。そんな彼にナナさんは、明るく「大丈夫!」と励ました。なんとも素敵な夫婦である。
ラッキーオールドサン
ナナ(Vo)と篠原良彰(Vo,Gt)による男女二人組。ふたりともに作詞/作曲を手掛け、確かなソングライティングセンスに裏打ちされたタイムレスでエヴァーグリーンなポップスを奏でる。2014年12月にkitiより1stミニアルバム『I’m so sorry,mom』でデビュー。詩と歌のシンプルなデュオ編成から、個性的なサポートメンバーを迎えたバンド編成まで、様々な演奏形態で活動を展開。輝きに満ちた楽曲の数々は多くのリスナーを魅了し、またその確かな音楽性が多くの同世代バンドからも熱烈な支持を得る。 https://luckyoldsun2013.tumblr.com/ Twitter @luckyoldsun_tw
この日のライブ会場のBGMは、仙台の古着屋Beagleが担当!
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Beagle Used Vintage
MENS & LADIES SELECT SHOP 住所 仙台市青葉区一番町1丁目6-19 壱番館ビル3F 営業時間 11:00~20:00 不定休 https://beaglesendai.thebase.in/ Twitter @beagle_sendai Instagram @beagle_sendai
ラッキーオールドサン
3rd full album『旅するギター』
2019年4月17日(水)発売
[収録曲]
1.旅するギター
2. I wanna be your boyfriend
3. 夜は短し
4. とつとつ
5. 愛はとこしえ
6. ヤッホー
7. 渡り鳥と愛の薔薇
8. ワンモアチャンス!
9. Rockin’ Rescue
10.Saturday Night
2200円+税
LNCM-1273
NEW FOLK / Mastard Records
『旅するギター』 リリースツアーは残り2箇所!
京都公演
21019年7月15日(月・祝) @京都磔磔
17:30 OPEN / 18:30 START
前売3000円/当日3500円(+1D)
w/ 本日休演
東京公演
2019年8月11日(日) @渋谷WWW
17:30 OPEN / 18:00 START
前売3000円/当日3500円(+1D)
w/ 台風クラブ and more.
THANK YOU SOLD OUT!