人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”
創業150周年 機械工具商社
時代の流れを読み、日本のモノづくり産業を支えていく―
今回インタビューを受けてくださった4名のラプラス社員。みなさん、とても楽しそうに働いている様子が伺えました
時代の流れに応じて、
柔軟な商いを
1868年――日本がまだ慶応年間だったころ、初代がこの仙台で商いを始めたことにルーツを持つ商社、ラプラス。日用品を扱う小間物商や、中国からの輸入品を扱っていた時計唐物商、軍の御用商人などを経て、現在は工場の生産に必要なネジ1本から3Dプリンターなどの機械工業製品、それに限らず航空・宇宙、自動車、医療、ロボット、エネルギーと幅広い産業に関わり、業績を伸ばしています。
そんなラプラスについて、「時代の流れに応じて、柔軟に業態を変えてきたんです」と話すのは、執行役員で総務部部長の堀田耕介さん。
執行役員で総務部部長の堀田さん。温厚なお人柄が印象的
社名は「フランスの数学者であるピエール=シモン・ラプラスにちなんでいます。ラプラス変換という線形微分方程式の解法を考案した人で、そこから『変化』とか『変換』という意味合いを込めました」。
フェイス トゥ フェイスの関係を大切に
ラプラスの主なお客さまは、日本経済を支えている工場。東日本をメインに、現在は中国でも事業を展開しています。取り扱う商材は数万点にも及び、例えば、ロボットを導入したいという工場には、そのロボットを組み立てる部品、カスタマイズ用の部品、搬入用のベルトコンベヤーなど、それに付随する商品までを集めて納品することができます。
ラプラスで取り扱う商品の一部。お客さまの「あれがほしい」に応えています
「工場のお客さまには、東日本の各営業所から営業マンがお伺いします。営業というお仕事は、AIにはできません。お客さまとの会話からニーズや感情を汲み取り、状況に応じた柔軟な対応をするためには、フェイス トゥ フェイス、ハンド イン ハンドの関係を、私たちは大事にしています」と、堀田さん。
ラプラスのお仕事の流れのイメージ図
女性社員が6割
働きやすさ抜群の職場!?
生産財商社と聞くと、男性の働く職場というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実はラプラスで働く社員の6割が女性で20年、30年と勤務している方もいるそう。そのため、子育てをしながらも働けるよう時短勤務が可能。産休から戻ってきても長く働ける環境づくりはもちろん、女性管理職が活躍できる環境づくりをしているそうです。
さらにラプラスのユニークなところが、その時々で項目や金額が変わる賞与。18歳以下の子どもがいる人、ゴールド免許を持っている人など、家族のいる人や会社が推奨するものを成しえている人に賞与が出るそう。「こうした社内での取り組みがモチベーションにもつながりますね」と堀田さん。
日本の産業を陰で支えているラプラス。堀田さんは「これから工場は、人手不足でロボットの導入が必要になってくるでしょう。私たちは、『ロボットといえばラプラス』と言われるよう、地元の工場の信頼を得られるよう努力してまいります。そして、これからも日本の産業のボトムアップに寄与したいですね」と、笑顔を見せました。
「殿柿ならなんとかしてくれる」と言われるよう、
信頼を勝ち取りたい
営業支援部として、その名の通り、各営業所の支援を行っている係長の殿柿さん。「3つの営業所を担当しています。各営業所の売り上げがうまくまわるようシステムを新しくしたり、現場の作業が便利になるよう工夫するのが私の仕事なんです」。
仙台の短大を卒業後、「ふらふらしていた私に、同級生が『ここで働けば?』って紹介してくれたのが、ラプラスだったんです。パートで働き始めたらとてもいい職場で。そのうち、社員として働くことになりました」と、殿柿さん。
現在は係長として新人教育にも携わっています。「いじわるでもなんでもなくて、私、新人にはわざと失敗してもらうんです。失敗しても、きちんと先輩や上司がフォローしてくれるっていうことを分かってもらうのが大切で。現場に出てから、失敗が怖くて…とお客さまとコミュニケーションが取れないことのほうがもっと怖いですから(笑)」と、愛情をもって後輩の教育にあたっている様子。
そんな殿柿さんに今後の目標を伺うと「『殿柿に言えばなんとかなる』と思ってもらえる存在でいられるよう、お客さまと社内の信頼を得ながら頑張りたいです」と微笑みました。
お客さまから指名される日を夢見て、
地道に、一歩ずつ前へ――
2018年4月に入社し、ラプラスの社員として社会人2年目を迎えた中里さん。「現在は、福島市の工場を担当していて、すでに取引のあるお客さまを担当する、ルート営業として御用聞きに伺っています」と話します。
大学では経済のゼミに所属。機械部品とは無縁だった中里さんがラプラスに就職したきっかけは、会社説明会。職種は絞らず、仙台近郊で働ける会社として足を運んだそうです。「大学進学で八戸から仙台に来て、すごく住みやすい街だと思い、この近くで働きたいと思いました。営業職希望ではあったのですが、なかなか飛び込みの自信がなかったので、ルート営業であるラプラスに大きな魅力を感じました」。
商品の説明をする中里さん。取り扱い商品が多く勉強の日々
これまでまったく工場に縁がなかったという中里さん。「知らない世界なので、お客さまに教えていただき、上司からは助けていただきながらの勉強の毎日です。でも、自分の納めた部品が組み上がって、ひとつの大きな装置になったのを見たときには感動しました」。
まだキャリアはスタートしたばかり。ですが、「いずれはお客さまからお声が掛かるようになりたいです。そのために、今は地道に、とにかく頑張っていきます」と表情を引き締めていました。
中途採用で、こんなにやりがいのある仕事に
出合えるとは思ってもみなかった
中途採用でラプラスに入社したという吉田さん。今年4月から、古川地区の営業を担当しています。
吉田さんの前職は、学習塾の講師。なぜ、まったく違うジャンルの世界に飛び込もうと思ったのでしょうか。
「仲間と一緒に起こした事業で、とても楽しかったのですが、事業を拡大していく中でどうしても一人ひとりの負担が大きくなってしまって…。そんな中で、子どもができたこともあり『家族の時間を大事にしたい』と思ったのが転職のきっかけ。完全週休2日制で、ある程度食べていけるお金がもらえればいい…。そんな気持ちで受けました」と教えてくれました。
しかしながら「実際に入社してみたら、仕事が本当に面白くて。営業マンとして様々な方にお会いできるし、なにより上司が素晴らしいんですよ。営業所の所長は、いつもニコニコしていて、どの現場に行っても愛されてる。『ラプラスさんじゃなくて、あなただからお願いしているんだよ』とお客さまから言われているのを聞いて、すごいなと思いました。中途2年目ですが、もうすでに素晴らしいロールモデルに出会えているって、すごくないですか!?」と。
そして「もし今、全く違う世界に飛び込もうとしている人がいたなら、『やってみなよ』と言いたいです。きっと、そこにしかないやりがいが見つかるはずですから」と、とても前向きな言葉で締めくくってくれました。
営業マン吉田さんの1日!
▶︎8:30 出社
雑談をしながら、営業所の掃除をします
▶︎9:00 朝礼
所長がその日の予定を話し、スケジュールの確認を行います
▶︎9:30 荷物の開梱、検品
メーカーから送られてきた荷物を開けて、納品書と品物があっているかの確認をします
▶︎12:00 昼休み
営業に向かいがてら、外で済ませることが多いです
▶︎13:00 営業
社用車でお客さまの元へ
▶︎17:00 帰社
お客さまからのご依頼に応じて見積書の作成などをします
▶︎19:00 帰宅
※こちらの記事は、2019年7月31日河北新報朝刊に掲載されました。
株式会社ラプラス
宮城県仙台市に本社を構える機械工具商社。商材はネジ1本から産業ロボットまで多岐に渡る。小さな町工場から日本を代表する大企業まで幅広く取引を行い、モノづくりの現場を総合的に支援している。https://www.laplace.co.jp/
撮影 Harty(川島 啓司)