イタリーさとうの修行道へようこそ。時にライターとして宮城の気になることを駆け回り、またある時は芸人の舞台に上がり、さらには司法試験よりも合格率が低いと言われる宮城マスター検定に挑み落ち続ける。そんなイタリーが宮城を代表する何者かになるため、まだ知らない世界や文化へ、若気の至りが許される限り踏み込んでいく。
連載「若気のイタリー」第3回
将棋好きが集う仙台の老舗居酒屋で、人生の先輩たちに一局挑む(前編)
最近、居酒屋の赤ちょうちんを見つけると入らずにはいられないイタリーさとうです。
そんな習性のもとふらっと一人で立ち寄ったお店「珠や」。
料理も美味しいし、お酒も美味しい。
それだけで満足していたのですが、一つ気になったところが――。
奥のカウンター席でお客さんが向かい合わせになって将棋指していました。
お店の壁にもプロ棋士の方のサインが貼られており、どうやら店主は将棋が好きらしく、お店には将棋好きの方が集まるらしい。
これは気になる! ということで日を改めてお店の話しや将棋の話しなどを取材させてもらいました。
せっかく将棋ができるお店なので、今回は将棋が好きな友人の五十嵐くんを連れて店主の方やお客さんと将棋を指します。
友人の五十嵐くん。現役の大学院生で、調子いいときは関ジャニ∞の村上信五に似ていると言われる。毎週日曜日放送の「NHK杯テレビ将棋トーナメント」をよく見て勉強中。
「珠や」店主の阿部力さん。
全国から集まる将棋の大会で東北代表として出場していたり、仙台市主催の将棋大会などでも優勝経験のある大の将棋好き。
「おれももう80歳だからねぇ。昔のおれと違うからどうだか。」と語る。
それでは先手後手を決める「振り駒」の結果、阿部さん先手でいざ対局。
将棋を指し始めるとお互いに集中し、緊張感が走る。
その様子を神妙な眼差しで見届けるイタリーさとう。
正直将棋に詳しくないので何が起こっているのか実はよくわかっていない。
徐々に五十嵐くんが押されているのは、彼の表情を見ればなんとなくわかる。
そのまま押し返すことができず五十嵐くんの完敗。
詰みとはわかっていても最終的なかたちまでやっていただきました。
居合わせた常連のお客さんから頂いた食パンの差し入れを食べながら感想。
五十嵐
「いや〜負けたね。」
戦ってみてどうだった?
五十嵐
「阿部さんが一個もミスなく詰めてくるから、そこで腕の差があってじわじわ追い詰められた。」
そっか。食パン美味しい。
それはさておき、あらためてご夫婦で営む「珠や」の阿部力さんと奥様の阿部廣子さんにお話しを聞いてみた。
お店を開いてから何年になりますか?
阿部力さん(以下阿部さん)
「ん〜48年になるかねぇ。」
お店を始めたきっかけはなんですか?
阿部さん
「あのね、元々はサラリーマンだったのよ。ちっちゃい新聞社だったんだけど、そこが潰れちゃったの。社長がいなくなると社員みんなサボって将棋をやっていたからねぇ。笑」
なんと!
阿部さん
「だからまぁ、将棋はそこで鍛えられたのかな。全国から集まる将棋の大会で東北代表として出場したよ。当時の他の社員も別な大会で宮城代表として出場していたから、レベルは高かったと思うねぇ。」
阿部さん
「で、会社が潰れて次は何ができるかなーと思って、飲み屋ならできるんじゃないかと思って始めたのね。今考えると世の中を知らない、怖いもの知らずだったから出来たんだろうねぇ。」
それで48年も続いていることが凄いです。
阿部さん
「で、まぁ将棋の付き合いがあったもんで、ここにはよく将棋打てるお客さんが来てくれたんだねぇ。時々その人たちがプロ棋士の人を連れてくることもあるよ。」
確かに、壁一面にはプロ棋士のサインがたくさん飾ってある。
奥さんの阿部廣子さん。
阿部さんがこのお店を始めたときから一緒にいて、その後すぐご結婚されたそうです。
長く続けられた秘訣はありますか?
阿部さん
「やっぱり無理のない範囲でやれたってのはあるね。うちは1階が店で、2階は家だから。そうすると店舗と家の家賃二重にかからないでしょ。」
なるほどー。
阿部さん「まぁでも、今は景気が悪いから昔と比べたら大変だけど、それでも最近若い人たちが来てくれるねぇ。」
僕も実際そうですしね。赤ちょうちんに誘われて入り、今や虜です。笑
さて、ここでお料理タイム!
珠やは季節の魚料理がたくさんそろっています!
レモンサワー 350円
お通しのたけのこの煮物
子持ち本ししゃも焼き 750円
宮城産ほっき貝刺身 700円
かき豆腐ネギどて焼き 700円
いただきます!
いや〜美味しい〜!!
五十嵐くんより何もしてないのにこのやりきったような顔。
というわけで前編はここまで!
後編では珠やにやってくるお客さんと五十嵐くんが将棋を指します。
そして成長した五十嵐くんが再び阿部さんとのリベンジマッチに挑みます!
お楽しみに!
珠や
住所 仙台市青葉区国分町3-2-13 電話番号 022-227-3916 営業時間 16:30〜22:00 日曜定休