FEATURE

《特別号!!》BGM for Tomorrow
ウジエグループ/ ヴィ・クルー

 新型コロナウイルスは、全世界に大きな影響を及ぼしました。「就活」「就職」というライフイベントに差し掛かっている、学生・就活生・新入社員の皆さんも、さぁこれからという時にうまくいかないなど、さまざまな影響を受けたのではないでしょうか。
 未曾有の状況下でも、不安な気持ちや様々な情報に惑わされず、自分の働き方や生き方の軸を考えるきっかけになればと思い、今までウェブマガジンB G Mでお話を伺った企業の方々に、今のこと、これからのことを伺いました。

 今月は株式会社ウジエスーパー常務取締役兼株式会社ウジエデリカ代表取締役社長の𠮷田芳弘さんと、株式会社ヴィ・クルー代表取締役社長の佐藤全(あきら)さんにお話を伺いました。

May 31, 2020     

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

 
ウジエスーパーの過去記事はこちら!「ウジエファン」とともに目指すHappy & Happyな社会
ヴィ・クルーの過去記事はこちら!6年後には 自動車メーカーに白石から世界に! 変化を恐れず、夢は大きく
 
 

「食」を通し地域を守る
ウジエスーパー

 地元の「いいもの」を掘り起こし、生産者や加工業者と地域の消費者をつなぐウジエスーパー。新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が停滞し、市民が外出自粛を余儀なくされた時期を、ウジエグループとしてどのように乗り切ったのでしょうか。𠮷田芳弘さんにお話をお聞きしました。

昨年オープンしたウジエスーパー吉岡店(写真提供:株式会社ウジエスーパー)

食のライフラインを守る

株式会社ウジエスーパー常務取締役
兼株式会社ウジエデリカ代表取締役社長
𠮷田芳弘さん

 スーパーの使命は「食のライフライン」を守ること。食材の調達が困難な時期にも、これまで培ったネットワークを駆使し、欠品なく並べるよう努めました。全社で意思統一したのは「閉店間際も商品を切らさない」こと。遅い時間にしか来られない方こそ、社会のために働いている人だからです。また飲食店休業の影響による余剰食材を買い支えるため、高級魚や和牛などの積極的な仕入れも意識しました。仕入れて販売するというスーパーの仕事は、誇りをもって働く生産者や物流業者と、われわれを信じてくださるお客様の双方の暮らしを守る責務があると考えています。

 本来春はお祝いや行事が目白押し。大勢で集まれずとも、せめて家族で楽しく食卓を囲んでもらえるよう、デリカ部門に力を入れました。休校に伴い給食のない子どもたちの食というニーズもあります。本体がスーパーだから新鮮で良質な食材を安く仕入れられるという強みを存分に生かし、味と品質こだわった総菜や寿司、パンを自社製造で提供。「森林どり」のから揚げや、自社製麺の冷やし中華などは、おいしくて手軽な食として好評です。

 一方で従業員を守ることは経営陣の使命です。感染防止策は当然ですが、ある店舗では従業員が子連れ出勤できる態勢を整えました。子どもにもタイムカードを手作りするなど、店長の臨機応変で温かい裁量に、私も胸が熱くなりました。

手づくりのタイムカードで子どもたちも出勤(写真提供:株式会社ウジエスーパー)
 

ウジエスーパーの過去記事はこちら!株式会社ウジエスーパー
「ウジエファン」とともに目指すHappy & Happyな社会

 
 
 
 

今こそ「どう生きるか」を考えよう

 先の見通せない不安の中で就職活動をする学生や、新社会人の皆さんへ、力強いエールを送ってくれました。

 就職活動中の皆さんは言いようのない不安の中にいることでしょう。でも、この状況だから出合えるすばらしい企業もある。「何がしたいか」だけにとらわれると視野が狭くなります。世界は広い、君たちがまだ知らない面白い仕事はごまんとありますよ。社会を脅かすこの難局を、世界と自分の関わりやこれからの生き方を改めて考える機会ととらえよう。「どう生きたいのか」を自分の言葉でしっかり語れる学生に、採用担当者は会いたいのです。

 新社会人の皆さん、目の前の事柄に全力で取り組んでいますか。能力の差なんて大したことはない、決定打はやる気です。今すぐ結果が出なくても、君の仕事ぶりやプロセス、うまくいかなくて悔しがっている姿を、必ず見ている人がいます。今の仕事を全身全霊でやり遂げれば新たなステージへ進める、そう信じてやり切る人が、将来的には強い。「投げ出さない」「あきらめない」の気持ちで頑張ってください。
 

●株式会社ウジエスーパー

 1947年創業の食品スーパーマーケット。宮城県登米市本社。「食を通した社会貢献」をコンセプトに地域密着型スーパーとして宮城県内に34店舗を展開。関連会社に株式会社ウジエデリカなどがあり、グループ一丸となって社会貢献に取り組んでいる。 http://www.ujiesuper.com

 


 

ヴィ・クルー流の
時代に合わせた電気自動車開発

 バスや自動車の整備・修理・塗装のほか、バスの改造や製造も手掛けるヴィ・クルー(白石市)。コロナ禍で観光業が全国的に苦境に立たされた影響を大きく受けているとのこと。厳しい状況の中、電話取材に応じてくれた佐藤全さんの声は明るいものでした。

ヴィ・クルーが製造販売を行うボンネットバス(写真提供:株式会社ヴィ・クルー)
 

目の前の仕事と
未来の仕事を同時進行

株式会社ヴィ・クルー代表取締役社長
佐藤全(あきら)さん

 観光バス事業等の取引先がコロナ禍の影響を大きく受けたことで、当社の事業も大幅に落ち込んでいます。現状をしのぐために、バス以外の車両の修理や整備をしたり、車体製造の提案をしたりしています。

 会社の存続のために目の前の仕事は大事です。一方で変わりゆく時代を見据え、5年後、10年後につながる仕事を生み出すことも必要です。今取り組んでいることの一つは、移動販売車やキッチンカーなどサービスを提供する車両の開発。もう一つは昨年中国のメーカーと共同開発したEV(電気)バスの可能性の追求です。現在の国内市場は中国企業が先行していますが、われわれはEVバスを日本のマーケットに合わせた仕様で製造できる強みがあります。環境に配慮した移動手段として、また災害時の電力供給源としても注目され、非常に将来性があると見込んでいます。

 さらに、低速で走る小型電気自動車「グリーンスローモビリティ」の開発準備も進行中。高齢化地区などで住民の足として活躍でき、環境問題と地域の課題を同時に解決する可能性があります。自社製造が実現すれば、EVバスと合わせてまちづくりのパッケージ提案もできるでしょう。今仕事が激減している状況ですが、ただ焦っても好転しません。湧いて出た時間を有効に、いかに未来志向の取り組みができるかが大事だと考えています。

中国のメーカーと共同開発したEVバス(写真提供:株式会社ヴィ・クルー)
 
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6年後には 自動車メーカーに 白石から世界に!変化を恐れず、夢は大きく

 
 
 
 

自分らしい仕事に
出合うチャンス

 「時間がある今こそワクワクするようなアイデアも湧いてくる」と話す佐藤さんが描く5年後、10年後の仕事とは。逆境の就職活動をどうとらえるか、学生へのアドバイスもいただきました。

 就職活動中の皆さんはこの状況を逆境と感じるかもしれませんが、僕はむしろチャンスだと思う。自分自身に向き合わざるを得ないからです。ここ数年のように超売り手市場が続くと比較的簡単に就職できますが、それが自分の適性に合った就職かどうかは疑問符が付きます。今回、採用減やスケジュール変更等で制限が課せられれば、就活生は自分は何に向くのか、強みは何か、何の役に立ちたいのかを徹底的に考え、自分をアピールするしかない。それこそが、本当にやりたい仕事を見つける鍵です。

 就職はゴールではなくスタート。入った後が肝心です。有名企業に入ることが必ずしも幸せとは限らないし、自分を見極めて将来像を描ける企業に入るほうが断然いい。とはいえ自分の強みや適性は、自分では見つけにくいものですね。そんなときは先生や親、知り合いなど身近な大人の出番。第三者の視点で、意外に大きなヒントをもらえますよ。今年の就活は決して不運ではない、自分自身の力でメリットに変えられるはずです。
 

●株式会社ヴィ・クルー

2006年創業。白石市斎川地区に本社を構える。自動車やバスの整備・修理・塗装などのほか、バスのデザイン・改造・製作なども行い、献血車やキッチンカーなども手掛けている。ボンネットバスの新車製造はもちろん、中古部品の販売も行う。 http://vi-crew.co.jp/

 

働き方を考える、
読むべき一冊!

お二人が、人生や働き方に多大な影響を受けた本を紹介してくれました。
企業のトップが若者に薦める本を手に取ってみては。

月刊『致知』2020年6月号(致知出版社刊)より転載

 𠮷田さんが「自分に世界を開いてくれた読み物」として紹介するのは、月刊誌『致知』。「人間学」をテーマに、各分野で道を切り開いた人のインタビューや対談で構成されます。教えられたのは、当たり前を徹底的にやり抜く「凡事徹底」の尊さと、他のために行動する「利他」の精神だそう。「少し難しいかもしれませんが、読み続ければ糧になりますよ」。

楡周平『ラスト ワン マイル』(新潮文庫刊)

 佐藤さんの好きな作家は楡周平。中でも、ネット通販と宅配サービスをめぐる経済小説『ラストワンマイル』は、「自社の事業領域を深めるきっかけを作ってくれた本」として心に残っているとか「うちの強みは何だろう」お客様は何に困っているのだろう」と考えながら読んだ、と話してくれました。
 

二人が実践する、
リフレッシュ法!

お二人はどのようにリフレッシュをされているのでしょうか。
話を伺うと「いかに仕事を楽しみながらリフレッシュするか」が見えてきます。

「時間はあるけど好きに出かけられないので、部屋の模様替えをしました」と佐藤さん。集中できる環境を整え、今まで手を付けられなかった新しい設計や企画作りに没頭しているそう。普段よりじっくり作業できるので良いものができ、満足度も高いと話します。「自由に動ける日がきたらスタートダッシュを決められるよう、準備していますよ」。
 
 

「趣味はありますが……それより仕事が楽しくてしかたない。リフレッシュしたいってあまり思わないんだよね」と話す𠮷田さん。「仕事の報酬は次の仕事」が信条だそう。どんな困難も、乗り越えた先の景色を想像すればワクワクする、「だから一つ仕事をやり遂げるのが、僕のリフレッシュかな」と豪快に笑いました。
 
 
 
※こちらの記事は、2020年5月31日河北新報朝刊に掲載されました。

※この記事の取材は5月に電話で行いました。

撮影
株式会社ウジエスーパー:Harty(川島 啓司)
株式会社ヴィ・クルー:三塚比呂

Posted in FEATURE, 特集 お仕事の極みTagged , ,
鶴岡彩
京都生まれ京都育ち。信州・松本で北アルプスを眺めながら数年子育てに専念、2005年から仙台でフリーライター。食、ものづくり、子ども、スポーツ、旅の周辺にいる人へのインタビューが好き。

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BGM of "BGM"

antennasiasan (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。現在(2018年)まで、国内外のレーベルから、8枚のオリジナル・アルバム、3枚のリミックス・アルバムを発表。