FEATURE

株式会社アキヤマ 彩りに思い出宿る
「メン子ちゃんミニゼリー」の秘密

 宮城県民、いや東北人にとってのソウルフードと言っても過言ではない「メン子ちゃんミニゼリー」。カラフルな一口サイズのゼリーを口に含めば、子どものころの思い出がよみがえってくる……という方も多いのでは? 実はこの「メン子ちゃんミニゼリー」の製造販売をしている「株式会社アキヤマ」は宮城の企業です。今も昔も変わらない商品の秘密について代表取締役社長の足利芳則さんにお話を伺いました。

Mar 31, 2020     

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

世代を超えて愛される彩りに思い出宿る
「メン子ちゃんミニゼリー」の秘密

有志が集って
ロングセラー商品を再発売

 

 
 株式会社アキヤマは清涼飲料、ゼリー、スナック菓子の3つの柱で商品を製造販売する食品メーカーで、創業は2008年。ここで「あれ? ちょっと待って。もうずっと前から食べているよ」と思った方もいることでしょう。実は、株式会社アキヤマは以前「メン子ちゃんミニゼリー」を製造販売していた株式会社秋山食品から事業を引き継いでいるのです。

清涼飲料、ゼリー、スナック菓子の製造販売を行っている

 足利さんは「前の会社が経営破綻してしまい、私も含め100人を超える従業員全員が解雇されました。長年親しまれた商品に愛着があって、途絶えさせるのが悔しかったんです。そういう思いを抱えた元従業員が集まって、設立したのが株式会社アキヤマなんですよ」と教えてくれました。

「メン子ちゃんミニゼリー」について熱く語る足利社長。忙しい日には現場に入ることもあるそう

 工場を再稼働させ、わずか十数名で「メン子ちゃんミニゼリー」を作り始めました。しかしながら、商品を再び出荷できるようにはなりましたが、ここでまた苦難の道が待っていました。「再発売はしたけど、販売店にはなかなか受け入れてもらえなくて。その時点では、すでにうちの商品の代わりに別の商品が陳列されているわけです。なかなか販売先がなく苦労している中、それでも『がんばれよ』と言って応援してくださった方がいました。その方たちのおかげで、なんとか商いを始めることができたんです。そこを切り口にして、佐藤営業本部長が苦労しながらも販路を開拓していってくれました」。
 

「メン子ちゃん」の名の由来
「子どもは、めんこい」

 ところで、みなさんは「メン子ちゃんミニゼリー」の名前の由来を知っていますか? 実は、前の会社の創業者の方が、小さなゼリー容器に目を付け「子どもが一口サイズで食べられる。子どもだから、宮城の言葉でかわいいを意味する『めんこい』にしよう」と、「メン子ちゃんミニゼリー」を開発。当時人気のあった石巻出身のコメディアン、故由利徹さんをCMに起用すると、子どもが一口サイズで食べられるうえに弁当にも入れられるとして、人気が爆発しました。

商品のパッケージは色鮮やか。キャラクターとのコラボ商品もある

 「メン子ちゃんミニゼリー」は、5種類のフレーバーを展開しており、袋ごとに配分が違うのはご愛敬。足利さんは「工場の生産ラインで、袋に充填するときにオレンジ味を何個…という風にできないんですよ(笑)。だから、わかっているお客さんは、自分の好きな味が多く入っているのを選んでいるみたいです」と笑います。

「メン子ちゃんミニゼリー」のフレーバーは5種類。ジューシーなゼリーは凍らせてもおいしいと評判

 来年は発売から40周年を迎えます。「来年は、スポット的に別のフレーバーを作ってみるのも面白いかもしれませんね。楽しみにしていてください」と、足利さん。

 「作り方は企業秘密ですが、基本は40年変わっていません。私のように60歳を過ぎた人でも、昔食べた思い出があるし、子どもや孫にも買い与えています。世代を継いでつながっていくお菓子というのは、なかなかないんじゃないですかね。商談に行くと、担当者の方が懐かしそうな顔になって『これ、アキヤマさんだったのね!』とおっしゃって下さることもあるんだそうです。『メン子ちゃんミニゼリー』はおじいちゃん、おばあちゃんの家に行ったら必ずあったとか、『ミルちゃんフルーツ』は友達と一緒に分け合って食べたとか、兄弟の力関係でいつも上の部分しか食べられなかった……とか、いろんな思い出をみなさんが持っている。それが、うちの一番の強みでしょうね。思い出がよみがえる、そういう商品でありたいです。」と。
 

 

高価格帯のものと、
気軽に買える価格帯を展開

 株式会社アキヤマの主力商品は、「メン子ちゃんミニゼリー」、そして「ミルちゃんフルーツ」と「コアラ学園シリーズ」。夏場に「ミルちゃんフルーツ」を凍らせて食べた思い出のある方も多いことでしょう。足利さんは「『ミルちゃんフルーツ』には脱脂粉乳を使用しているのですが、類似品の中で一番その量が多いんです。だから、凍らせて食べたときの食感が“ジャリジャリ”じゃなくて“シャリシャリ”になるんですよ」と教えてくれました。

気軽に買える「コアラ学園」と原材料にこだわった商品。どれも発売から変わらない味で愛され続けている

 ところで、「コアラ学園シリーズ」は、ゼリーとドリンクも展開しています。商品のかぶりは問題にならないのでしょうか?その質問に足利さんは「『メン子ちゃんミニゼリー』と『ミルちゃんフルーツ』は、原材料も良質のものを使用していて、類似商品の中では高価格帯なんです。そこで、低価格でもご提供できるようにと、コアラブランドで作ったらしいのですが、なぜコアラだったのかわかりません。コアラブームだったのかな……(笑)」。
 

これからも、みんなが笑顔で
いられる商品づくりを

 「いつも笑顔と一緒でいたい」という理念のもと、会社を引っ張っていく足利さん。「うちの会社が続いていくのが、誠意だと思うんです。最低限の利益は確保して、お客さまはもちろん、商品を置いてくださる小売店さんも、お得意先の問屋さんも、運送会社のみなさんも、原料や資材を提供してくださる会社のみなさんも、従業員も会社も、みんなが満足して笑顔になれる会社を目指しています」。
 
従業員のみなさんは多能工により、すべての商品の製造にあたる。変わらない味と、創業時の想いは若手社員にも受け継がれているそう
 
これからの展望についても聞きました

 「みんなが笑顔になれる商品づくりをするのは変わらないです。ただ、商品が長寿であればあるほど先細りしていくのは避けられません。購買層も変わってきますし、何よりも少子高齢社会になっていますから。世の中の変化に応じて、みなさんがどのようなものを食べたら笑顔になってくださるかを考えながら、変えるべきところとそうでないところのバランスをとりながらやっていけたらいいと思いますね」
 
「メン子ちゃんミニゼリー」は段ボールもポップで鮮やか。販売店で目を引く工夫がされている

 

アキヤマのスタッフさんに話を聞きました

製造部 高橋功樹さん(2015年入社)

 
 高橋さんは、工場で製造に従事。現在は、すべてのゼリーに使用する香料や着色料を計量する業務を担当しています。「それぞれの商品に応じて、使用する材料が異なりますし、それが味の決め手になるので、ミスが許されない仕事です」。
 

 
 ご自身も宮城県の出身で、「小さいころから『メン子ちゃんミニゼリー』を食べていましたし、家も近くだったので、アキヤマのことは知っていました。僕は、就職するにあたって、地元に貢献したいという気持ちが強かったんです。だから昔から知っている『メン子ちゃんミニゼリー』を作れたらいいなと思い、入社しました」。

 入社後は「メン子ちゃんミニゼリー」が作られている工場を見て、感動したという高橋さん。「夏場は忙しいけれど、売れているという証なので、うれしくなります。親も『うちの息子が作ってるんだ』と周りに言ってくれているし、自分が作った商品がお店に並んでいるのを見ると誇らしい気持ちになります」と、話してくれました。

 これからの目標について聞くと「先輩方の丁寧な指導のおかげで、僕自身成長できたのではないかと思います。これからは、僕自身が後輩たちにしっかり教えられるようになりたいです」と、笑顔をのぞかせました。
 
※こちらの記事は、2020年3月31日河北新報朝刊に掲載されました。

 

●株式会社アキヤマ

 前身の株式会社秋山食品から事業を引き継ぎ2008年に設立。宮城県加美郡本社。東北の人々に愛され続ける「メン子ちゃんミニゼリー」をはじめ清涼飲料、菓子の製造・販売を行い、安心・安全でおいしく、楽しくなるような商品づくりを目指している。 http://akiyama2008.co.jp/index.html

撮影 Harty(川島 啓司)

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岡沼美樹恵
大学卒業後、東京の出版社でTV誌の記者として勤務。その後フリーランスのライター、編集、翻訳・通訳に。得意分野はエンタテインメント、インタビューと食。食べることと旅することが大好きで、夢は世界一周グルメツアーに出ること。

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BGM of "BGM"

antennasiasan (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。現在(2018年)まで、国内外のレーベルから、8枚のオリジナル・アルバム、3枚のリミックス・アルバムを発表。