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株式会社安部自動車/
時代に合わせて変化する「ぼんてんグループ」

 中古車販売業として創業後、飲食業界に参入した「ぼんてんグループ」(株式会社安部自動車)。現在、「梵天食堂」「ぼんてん漁港」などフランチャイズを含めた21店舗を展開しています。革新的な取り組みを行っているという「ぼんてんグループ」とはどんな会社なのか!? 安部昭彦社長と若手社員への取材から、その姿に迫
ります!

Dec 30, 2019     

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

働き方はあなた次第!

時代に合わせて変化する「ぼんてんグループ」

「洋風酒場ぐりるぼんてん」はカジュアルな雰囲気の店内。ボリュームたっぷりのランチや、ワインビュッフェが好評

お客さまにとって
“第三の場所”を目指して

 「ぼんてんグループ」が、飲食業界に参入したのは2005年のこと。その理由について、安部昭彦社長は「車の商売が性に合わないな、って思っちゃったんですよ」と豪快に笑います。

 中古車販売は、オークションで車を仕入れてそれを売るビジネス。「自分たちで勝手にアレンジするわけにもいかないじゃないですか。それで、もともと食べることが好きだったこともあって、『飲食をやってみようか』となったんですよ」。

本社近くにある新鮮な魚介をリーズナブルな価格で提供している「ぼんてん漁港」

 とはいえ、飲食の経験はゼロ。そこで、ピザのデリバリーのフランチャイズ*として飲食業界への船出を果たします。「そのうち、自分たちの料理を提供したくなっちゃった」という理由から、自社で運営する飲食店を始めることに。“おいしいものをリーズナブルに”をモットーに「梵天食堂」名取店と中野栄店の2店舗を同時にオープンさせました。

 「次の日の英気を養えるサードプレイス、つまり家でも職場でもない第三の場所になりたかったんですよ。だから、平均単価は3000円以内で週に1度通えるようにしました」。

フランチャイズ/「本部」である企業の傘下に加盟することで、本部の商品やサービスの販売権などを得られるシステム

明るい笑顔と笑い声で、スタッフを引っ張っていく安部社長


自分らしい生き方を――
飲食業界驚愕の勤務形態

 よく笑い、豪放磊落(ごうほうらいらく)といったイメージの安部社長。創業のストーリーもなかなかに破天荒ではありますが、現在は飲食業界にあってはまさに“異色”ともいえる革新的な取り組みを行っています。それは、従業員の勤務形態の改善。「飲食というと“若いうちしか務まらない”と思っている人も多いと思います。あとは、社員のオーバーワークや人手不足による長時間労働といったイメージを持っている人もいるでしょう。でも、弊社で一緒に働くみなさんには『自分らしい生き方』をしてほしいと思って、さまざまな勤務形態を取り入れることにしたんです」と、安部社長。

 それは例えば、「週休3日制」であったり「残業なし」「4時間勤務」といった時短勤務です。「これは、社員の申告制になっています。自分の時間を大事にしたい、もっと家族と一緒にいたい……といった理由でこうした制度を利用している社員もいます。人生、働くだけが楽しみではないですからね。安心して働いてもらえるような会社にしようと取り組んでいます」。

スタッフ手書きのカラフルなメニューはお店の雰囲気を明るくします


スケールメリットで
活躍できる場もUP!

 入社後のキャリア形成についても、「今まさに取り組みはじめたところ」と話す安部社長。

 「もちろん、店舗での実務を経てからの話にはなりますが、マーケティングや新店舗オープン、バイヤーといった業務を担当したいというような場合、その希望に添えるようにしたいと思っています。そのためにも、企業としての規模が必要。みなさんの活躍ができる場所を広げていくためにも業態を広げていかなくてはいけないんですよ」。

 確かに、大手飲食チェーンにおいては、お客さまと直接接する店舗と、その店舗を統括する本部があり、それぞれでのキャリア形成が可能です。安部社長は「単に商売規模を大きくしたいということではなく、従業員のみなさんが長く働ける環境を整えるためにも必要。例えば、厨房に立っている料理人が、事故か何かで包丁を握ることができなくなってしまったとします。でも、料理ができないからといって『さようなら』というわけにはいかない。そうした場合、その方に仕入れの担当になってもらうとか、マーケティングを担当してもらうとか、他の部署での活躍のチャンスが残りますから」。

セントラルキッチンなどがないため、どの料理もお店で手作りしています


ユニークな
インターンシップにも注目!

 昨今の学生が入社前に積極的に行っている「インターンシップ」も受け入れています。一般的に飲食業のインターンシップはホールを任されることが多い中、「ぼんてんグループ」では、経営サイドに立っての「利益の出し方」「メニュー開発」などに携わることが可能です。

「ぐりるぼんてん」のおすすめメニューとグランドメニュー。おすすめメニューは毎月かわります

 「飲食店のホールで……というのは、アルバイトに応募しても経験できます。学生さんの意識も多様化してきている中で『現場だけでなく付随業務も体験してみたい』という声があるのを聞いて、弊社では経営サイドのインターンシップもキックオフさせました。食材の仕入れ、マーケティング、メニュー開発などに携わってもらうことができます」と安部社長。実際に「梵天食堂」六丁の目店では、インターンシップの学生が考案した「ばくだん丼」をグランドメニューとして提供しています。さらに「インターンシップの学生さんがいるタイミングで新店舗オープンの計画があれば、そういったことにも携わっていただこうと思っているんですよ」と話します。

 こうした取り組みには、「学生時代、アルバイトをしていた時にまわりの大人が私のことをきちんとした大人として扱ってくれたんです。そういう経験って、若いうちに必要なんじゃないかなと思うんですよね」という背景があるからかもしれません。

「洋風酒場ぐりるぼんてん」の様子。洋食をリーズナブルに提供し、若い人から人気

 アルバイトの学生と関わることも多い安部社長。若い人たちについて思うことを聞くと「知らない世界に飛び込む勇気を持ってほしいな、と思いますね。新しい世界に飛び込んで、ボロボロになったっていいじゃないか、って思うんですよ。1回しかない人生だし、経験したこともないことについて『好き、嫌い』と決めつけちゃうのはもったいない気がするんですよね。嫌いだと思っているものも、食べてみたら案外おいしいってことがあるじゃないですか」と笑います。

 今後の「ぼんてんグループ」のビジョンを伺いました。「やっぱり私には大衆的な商売があっていると思うので、その路線は変えずに。そして、一緒に働いてくれているみなさんと一緒に考えながら規模を拡大していきたいですね。私ね、トップダウンって好きじゃないんです。『三人寄れば文殊の知恵』って言葉があるように、みんなで考えたほうがいい知恵がわくし、それにそれぞれにとって興味と感心を持つ『自分ごと』になるでしょう」。


店にいると「ぼんてんって
愛されているなぁ」と感じます

 2018年4月に入社した村上なこさんは、気仙沼出身。高校卒業後は地元の婚礼衣装会社に就職しましたが「食べることが大好きだったので、飲食店に転職しようと考えて、ネットで検索。見つけたぼんてんグループのホームページに載っていたスタッフさんの笑顔を見て『楽しそう!』と思って、連絡したのがきっかけです」と話します。

「仕事が大好き」だとうれしそうに話す村上さん

 面接後、1週間ほどさまざまな店舗で研修し、採用に。以来、仙台駅近くにある『ぐりるぼんてん』で働き、「今ではホールの責任者をしています。
アルバイトスタッフのオペレーションの指示やシフトを組むのが主な仕事です」。

村上さんがホールを任されている青葉区花京院の「洋風酒場ぐりるぼんてん」

 リーズナブルな価格から、店舗はいつも若い人たちを中心ににぎわいます。「学生さんが定食屋感覚で来てくれたり、中には“ぼんてんハシゴ”のお客さまも。愛されているなぁって感じます」。

 毎日が充実しているという村上さん。会社では多様な勤務形態を整えていますが「休みがいらないくらい仕事が好き。でも、休まないわけにはいかないので、休日は別の店舗にご飯を食べに行くんです」と、笑顔。

 社員、アルバイト、そしてフランチャイズスタッフのみなさんとともに、思い切ったかじを取る安部社長の「ぼんてんグループ」に今後も注目です!

ワインビュッフェの準備をする村上さん。ホール責任者として、隅々に目を配ります

外に出す看板は、村上さんの手描き。センスが光っています



※こちらの記事は、2019年12月30日河北新報朝刊に掲載されました。

●ぼんてんグループ (株式会社安部自動車)

 1987年創業、仙台市本社。中古車販売からスタートし、2005年に飲食業界へ参入。「おいしい料理をリーズナブルに」をコンセプトに掲げ、ぼんてん漁港、ぼんてん酒場など8業態21店舗(FC含む)を展開。宮城から全国への展開を目指している。 http://bontenshokudou.com/index.html

撮影 Harty(朝倉 佳苗)

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岡沼美樹恵
大学卒業後、東京の出版社でTV誌の記者として勤務。その後フリーランスのライター、編集、翻訳・通訳に。得意分野はエンタテインメント、インタビューと食。食べることと旅することが大好きで、夢は世界一周グルメツアーに出ること。

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BGM of "BGM"

antennasiasan (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。現在(2018年)まで、国内外のレーベルから、8枚のオリジナル・アルバム、3枚のリミックス・アルバムを発表。