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仙台 冬の風物詩
「せり」の味を他人に伝えたい(後編)

近年仙台の冬の風物詩となった「せり」。自称芸人もどきのイタリーさとうが、自身が大好きな「せり」の味を知らない人にどう説明するか奮闘する。後編では、「三つ葉」「春菊」「水菜」「パクチー」を配合し、せりの味を再現できるか実験!そして、友人たちとせりを実食し味を確かめる!

Feb 18, 2018

イタリーさとうの修行道へようこそ。時にライターとして宮城の気になることを駆け回り、またある時は芸人の舞台に上がり、さらには司法試験よりも合格率が低いと言われる宮城マスター検定に挑み落ち続ける。そんなイタリーが宮城を代表する何者かになるため、まだ知らない世界や文化へ、若気の至りが許される限り踏み込んでいく。

 

連載「若気のイタリー」第2回

仙台 冬の風物詩
「せり」の味を他人に伝えたい(後編)

 
前編では「せり」の味をどう説明するか、「イタリーさとう調べ」が行われた。
その結果、
「その辺に落ちている葉っぱを食べていたら大当たり引いたみたいな味。」
「冬に無性に食べたくなる野菜界の『メルティーキッス』」
「アイドルの芹那が好んで食した」
など、大喜利で返す回答が集まってしまった。

前編はこちら

仙台 冬の風物詩「せり」の味を他人に伝えたい(前編)
 

そして、比較として出てきた食材「三つ葉」「春菊」「水菜」「パクチー」を組み合わせれば「せり」に似ているかもしれない!と思いついた。

後編である今回は、これらの食材を合わせて「せり」に近づく配分を検証していく。
 

 
とりあえず、パクチー以外の「三つ葉」「水菜」「春菊」をベースに、ブレンドしてみて、そこから引き算して「せり」の味を再現できるか調べよう。

せり=水菜1本+三つ葉3本+春菊の葉1枚

これを一気に食べてみる。

 

 

 

うぇえ!!
えぐみがすごい!!
そして根っこがない!!

根っこの代わりに何かないか……

あっ!

 

パクチーの根っこが見た目はせりっぽい!
 

 

やっぱ違う!!

おっ!
 

 
三つ葉にも小さいけど根っこがある!
 

 
お! めっちゃ似てる! 似てるぞ!

三つ葉の茎と葉はえぐみがあったから抜いてみてこの配合はどうだ!

 

 
せり=水菜2本+春菊の葉1枚+三つ葉の根っこ

 

 
なんか違うなーー!
それからベストな配合を求め何度も微調整を続ける….

 

 
違う!!
 

 
まだまだ違う違う!!

そして出会った配合がこちら!
 

 
もう見た目から完璧にせり!!

三つ葉はえぐみが少しあるけど、茎の部分の味はせりに似てると思うから、葉の部分を無味の水菜で代用して、味付けにちょび春菊で補う!
 

 
うん、かなり近い!!
これが現状ベストな気がする!!
つまりこの配合バランスで説明できるはずだ!
 
結論!

「せり」とは、水菜の上のほうと三つ葉の茎と根にちょび春菊を足した味である。


 
……
 


 
説明になってない!!

というわけで、せりしゃぶ発祥の地で有名な「いな穂」さんに行ってきました。
前編で「せり」の説明を回答してくれた人にも同行してもらい、実際に食べてみて自分が出した回答と比べながら「せり」と向き合うことに。
 

 

 
いな穂さんでは名取のせりを使用しています。
 

 
同行してくれたメンバー。
左から

・Kくん
「冬に無性に食べたくなる野菜界の『メルティーキッス』」と回答。
本人曰く、迷ったけど大喜利を試されていると思ったらしい。

・Iくん
「主役も脇役もこなすがクセの強いマルチプレイヤー。like a 『千鳥』のノブ」大喜利で回答。
前編では他のボケの都合で泣く泣くカットした悲運の持ち主。

・Sくん
「主張が激しい三つ葉」と回答。
メンバー内で最も真面目な好青年。軸がぶれるかぶれないかは彼次第。

・Mくん
「パクチー」を表現に使った張本人。前編で筆者が生パクチーを食べたのは彼のせい。

 
せりが来た!!

どーーーん!!
 

 
根っこも太い! 長い!
 

 
葉っぱ・茎・根っこごとに切られて提供されるのも特徴。

K「この量のせりは見たことない!笑」

鰹出汁と醤油と昆布に、鴨肉で作られただし汁に、葉っぱは2〜3秒しゃぶしゃぶ、根っこのほうは15秒くらいしゃぶしゃぶするのがベストな食べ方だそうだ。
 

しゃぶしゃぶ。

それぞれしゃぶったせりを口に運ぶ。

M「うめぇんだよ。笑」

全員「うめぇ。笑」

S「せり鍋とかで食べてたシナシナの感じじゃなくて、シャキシャキした食感がちゃんと味わえてとにかくうまい!」

M「食べてみてわかったけど、根っこがうまい」

S「確かに」

I「めっちゃうまいね」

M「シャキシャキのうちがうまいし、土の味がしない!」

そんな感想を聞きながら私も実食。
 

 

 

 

イタリー「うまぁ〜い」

確かに根っこのシャキシャキ感が美味しくて、泥臭さも一切なく食べやすい!
葉っぱと、茎、根っこ、部分ごとに食感と味が全然違う楽しみがある!

舌鼓を打ちながら山盛りのせりを食べ終え、鍋の〆へ。
雑炊、稲庭うどん、お餅、ラーメンの4種類の中から、我々は雑炊とラーメンを選んだ。
 

 
ラーメンの麺はせりを練りこんだオリジナル麺を使っており、一緒に入った麩もだし汁をたっぷり吸って最高に美味しい!
 

 
最後は雑炊!
みんな「うまい」と言いながら夢中になって食べた。

そして各々、前編部分で回答した自分の説明と、実食後の感想をまとめる。

I「主役も脇役もこなすってのは間違いなかった。湯通しと雑炊、調理によって全然違う」

K「そうそう、せりは脇役だと思っていたけど、メインもいけるのがわかった」

S「説明するときは葉っぱの部分をイメージしていたけど、こうして食べてみると部位によって全然違うし、やっぱ根っこがうまい」

K「メルティーキッスの部分で言うと〜笑。それはさておき、冬に食べたくなるのは間違いない」

S「三つ葉は葉っぱのイメージだけど、せりは茎も根っこも味わえるし、場所で味が全然違うね」

M「まぁ、味はパクチーではないね。笑」

全員「笑」

M「パクチーは癖が強くていっぱい食べられないけど、せりはいくらでも食べられる」

I「そうだね、癖はどっちもあるけど方向性が違うというか」

M「パクしゃぶ食べるって言われたら厳しいかな」

I「パクパク食えないしね」

……

I「ま、せりはせりなんだよね。食べた上で端的に表せないわ」

全員「ん〜」

S「まさに、この感じが『いずい』」 

※「いずい」宮城の方言。居心地が悪い、違和感があるなどニュアンスの感覚。この感覚を正確に伝えられないのがまさにいずい。

全員「あー!」

K「まとめられない」

みんながまとめに困り、結論が出せず「いずい」状態で解散。

 
これでは終われないと思い、こちらの「いな穂」さんにせりを提供しているせり農家の三浦隆弘さんにもどうやって説明するか伺ってみた。

三浦さん
「秋、冬、春のせりの時期、葉、茎、根の部位によって味わいが違います。
お酒のペアリングや調理方法によっての主菜か副菜か役回りによっても違います」

と、食べて我々もわかったように、やはり一口で説明するのは不可能なようだ。

「仙台におけるせりの愛し方は、その季節の移ろいを味わい感じることです」

確かに我々がいただいたのは冬のせりだ。

「冬の間蓄えた肥毒を春にせりを食べることによって排出する薬草の役割も」

春のせりは七草にもあるように、薬草としての役割もあり、味ももっと力があって広がった味になるそうだ。

結局我々は「いずい」気持ちを抱いたまま、「せり」を知らない人に伝える言葉を端的にまとめられなくなった!

だが!それは「せり」と向き合ったからこそ、たどり着いた「いずい」感覚なのだ!
どこからどうやって説明すればいいか、癖があることを説明しようとするとネガティヴに聞こえないか、せりのことを説明しようとすると様々な葛藤が生まれてしまう!

私はそれでいい、それが正しいと思い始めている!

知らない人はまず食べる以外にない!
食べたことがある人も、多分せりのことをよくわかっていない!

最後に三浦さんからこんな言葉をいただいた!

「考えずに感じてください(^ ^)」

あなたも「せり」を感じよ!!!!

 

いな穂

  住所   仙台市青葉区中央1-8-32 名掛丁センター街 電話番号 022-266-5123 営業時間 15:00〜24:00 定休日 日曜日

 

三浦隆弘

  名取市下余田地区で、セリやミョウガタケなどの伝統特産野菜を栽培している専業農家。環境保全や有機農業にも積極的に参画。 twitter @shimoyoden https://plaza.rakuten.co.jp/shimoyoden/
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イタリーさとう
1993年宮城県仙台市生まれ。通称よっくん。地元仙台を拠点に活動するローカルフリーライター/宮城マスター検定見習い。地元の魅力あるものにスポットライトを当てて記事や映像で輝かせることが得意。仙台のカルチャーウェブマガジン「SEN.」などに寄稿。現在は利府町のシェア型複合施設「tsumiki」スタッフとして企画・運営に関わる。また、お笑い芸人としてもたまに活動中。特徴の太いまゆげは先祖代々の遺伝子情報に記載。

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佐藤那美宮城県仙台市荒浜出身の音楽家。ピアノを中心にエレクトロニカ、アンビエント、ストリングスなどのサウンドを取り入れる。CMや映像作品に多く楽曲提供。レッドブルミュージックアカデミー2018inベルリンに選出。関連記事はこちら