FEATURE

有限会社美藤流通システム
「運ぶ」ことのウラ側に迫る!

 私たちの生活を支える「物流」。なんとなくイメージはできるものの、実際のお仕事の現場はどのようなものなのでしょうか。仙台を拠点に、生鮮食品から骨材といったものまで、幅広い商材を運んでいる「有限会社美藤流通システム」の取締役社長・丸鶴智大さんとスタッフの片桐美幸さんに伺いました!

Aug 31, 2019   

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

生活の基盤「物流」

「運ぶ」ことのウラ側に迫る!

幅広い商材を集めて、
効率良く運ぶ

―有限会社美藤流通システムさんのお仕事の内容を教えてください

丸鶴智大取締役社長(以下丸鶴)
生鮮食品から骨材まで幅広い商材をトラックで運ぶ物流会社です。定期的にお客さまのもとをまわって、集荷、運送、配達を行います。いわゆるBtoB*¹の業態で、常温、冷蔵、冷凍といったさまざまな温度帯の商材に対応しています。


物流業界一筋の丸鶴社長。飾らない性格で、オフィスはいつも笑い声であふれていました

―2004年の設立ということですが、会社設立までのいきさつを教えてください

丸鶴
前身は「藤佳運輸」という物流会社でした。私が、藤佳運輸の社長であった義父から事業を引き継ぐ際に社名を変更したんです。藤佳運輸は物流業界ではちょっと名の知れた会社で、昔「トラック野郎」という映画にデコトラ*²が出演したことがあるんですよ(笑)。

*¹ BtoB/企業が企業に対して商品やサービスを提供すること
*² デコトラ/デコレーショントラックの略で、派手なペイントや電飾などを施したトラックのこと


美藤流通システムのデコトラは、藤佳運輸時代から、ドライバーの間では知られた存在

―丸鶴さんも片桐さんも、トラックドライバーをしていたのですか?

丸鶴
私自身は、昔、トレーラーや冷凍車の運転手をしていました。今は配車がメインですが、人手が足りない時はもちろん運転しますよ。実は、今日も午前中は福島に配送に行っていました(笑)。

片桐美幸さん(以下片桐)
私は事務員兼ドライバーですが、やっぱり運転は好きです。いろいろなところに行けますしね。


ドライバーとしても活躍している片桐さん。ネイルやヘアなど、おしゃれにも気を使い、女子度も高い!

―配車というのは、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

丸鶴
42台分のトラックの行き先を決めます。物流というのは、毎日動くものなので、この配車が肝なんです。今の時期だとカツオが揚がるんで、浜に行ってそれを豊洲の市場に運んだりね。「いっぱい取れたから、トラックがもう1台欲しい」って急に言われることもあるので、他のトラックの行き先を調整したりして、手の足りない現場に向かってもらったり。そういうことに都度対応しています。私自身、ドライバーをしていたから道もわかるし時間も読める。ドライバーとしての経験は、効率良く配車をする際にとても役立っています。


私たちの手元にモノを確実に届けるために、多くの人が関わり、さまざまな工夫がなされています


物流会社の肝ともいえる配車は、丸鶴社長の仕事。常に携帯電話は肌身離しません

女性も活躍できる
物流業界

―美藤流通システムさんでは女性ドライバーも活躍しているんですね

片桐
私は前身の藤佳運輸の時代からドライバーをしているのですが、当時はまだ女性ドライバーは珍しかったんですよね。でも今は、女性ドライバーも増えてきたし、バリバリ活躍できる場になっています。弊社では5名の女性ドライバーが常駐しているんですよ。

―片桐さんはどうしてドライバーになろうと思ったのですか?

片桐
高校を卒業したもののなかなか就職先が見つからなくて。そんなときに、藤佳運輸の社長(現美藤流通システム会長)と私の母が同級生だったこともあって「うちに来い」って言ってくれたんです。当時は普通免許で中型車まで運転できましたので、入社してすぐ4tトラックを運転していました。その後、大型トラックの免許を取らせてもらって、今では添乗指導ができる資格も取得しました。

丸鶴
実は私と片桐も同級生で、もう20年以上の付き合いなんですよ(笑)。

片桐
なんか、変な縁でつながっているよね(笑)。


大型トラックを運転する片桐さん。めちゃくちゃかっこいい!

風通しのよさが、
低離職率の秘訣

―美藤流通システムさんは離職率が非常に低いと伺いましたが、その秘訣は?

丸鶴
実はよくわからないんですよね(笑)。人手が足りないなぁ…って思うとすぐに応募があったりで、ありがたい限りです。

片桐
単純に仕事が楽しいっていうのもあるんですけど、風通しがいいんですよ、うちの会社。社長のキャラクターもあって、言いたいことがなんでも言える。私はたまに「言い過ぎ」って言われるくらい(笑)。

丸鶴
たしかに、定期的に飲み会などを開いて、普段言えないことをお酒の力を借りて言ってもらったりしています(笑)。

片桐
あと、社長の性格でいうと、いけないことに関してはバシッと怒るんですけど、それを引きずることがない。だから社員も叱られたことは「次、ちゃんと気を付けよう」ってなるし、社員側で不満なことがあれば、それをちゃんとぶつけることができるんですよね。

丸鶴
たまにぶつけられまくりで凹むこともあるけどね(笑)。

片桐
それに、会社費用で大型免許やトレーラーのけん引免許が取得できたりと、キャリアアップのためのバックアップもしっかりしているのもいいところだと思います。


社員のみなさんは、つなぎやTシャツなどのユニフォームに身を包んでお仕事に励んでいます

―トラックドライバー“あるある”を教えてください

丸鶴
やっぱり装飾にはこだわりますよね、みんな。高速のパーキングとかで、他のトラックと自分のトラックをついつい見比べちゃうよね。

片桐
そうそう。「あ、私の方がかっこいい」とか。

丸鶴
逆に「うわー。やられた!これ欲しかったやつだ」とかね(笑)。だから、うちのスタッフも「この装備が欲しいんです」とかよく言ってきますよ。

片桐
気分があがると、仕事も楽しいですから。


この「杜の都 奥州」の看板は、藤佳運輸時代から受け継ぐデザイン


ドライバーのみなさんは、各々のトラックに好きな装飾を施しているそう

人とのつながりで始まった
日帰り入浴施設の運営

―関連会社の「株式会社丸鶴」では日帰り入浴施設「やまびこの湯」を運営されていますね

丸鶴
「やまびこの湯」があるベガロポリス仙台南店には、以前別の入浴施設があったんです。もともとうちの会長がそこのヘビーユーザーだったこともあって、閉店するときに、「誰か引き継いでくれないか」と相談を受けたのがきっかけで。うちは物流会社で入浴施設の運営なんて経験がなかったけれど、頼まれると断れなくて…(笑)。

それで、いろいろな人を紹介してもらいながら、オープンすることができました。

―「やまびこの湯」は、サウナー*³の間で話題だそうですね

丸鶴
熱したサウナストーンに水をかけてマイナスイオンを含んだ水蒸気を発生させる「ロウリュウサウナ」で、スタッフが蒸気をあおぐサービスが好評なんですよ。毎月第3金曜日には「サ活デー」というものを設けていて、500mlのスポーツドリンク、コップ1杯の氷をサービス、そして男湯の水風呂に20㎏の板氷を入れています。ロウリュウで大汗をかいた後に板氷に抱きつくのがツウのお客さまのやり方らしくて(笑)。朝から満室になるくらいの人気をいただいているんです。

この板氷が用意できるのも、うちが物流をやっていて、冷凍車を持っているからこそ。これは他社ではできないサービスだと自負しています。

*³ サウナ-/サウナ愛好家


関連会社で運営を始めた「やまびこの湯」。朝からいっぱいになる日もあるほどの人気

―今後のビジネスのビジョンを教えてください

丸鶴
物流業界も、人手不足が深刻です。そんな中で、物流だけでビジネスを成り立たせるのは厳しいと思うので、10年後を目標に弊社では倉庫を持ちたいと考えています。若い人がどんどん活躍できる会社にしますので、興味があればぜひお問い合わせください(笑)!

片桐
若い人も女性も、ウェルカムです(笑)!

―最後に、若い人たちへのメッセージをお願いします

丸鶴
何でもやれるだけやってみたらいいと思いますね。「わからない」って言っちゃうんじゃなくて、とりあえずやってみてから「わからない」でいいんじゃないかな。いろんなことに挑戦して、「今を生きる」っていうことを真剣にやってみてほしいですね。

※こちらの記事は、2019年8月31日河北新報朝刊に掲載されました。

 

有限会社美藤流通システム

2004年設立。仙台に本社を置く運送会社。関連会社である株式会社丸鶴では、日帰り入浴施設「やまびこの湯」を運営している。http://www.mifuji-express.com

撮影 Strobelight 渡辺 然

Posted in FEATURE, 特集 お仕事の極みTagged ,
岡沼美樹恵
大学卒業後、東京の出版社でTV誌の記者として勤務。その後フリーランスのライター、編集、翻訳・通訳に。得意分野はエンタテインメント、インタビューと食。食べることと旅することが大好きで、夢は世界一周グルメツアーに出ること。

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BGM of "BGM"

antennasiasan (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。現在(2018年)まで、国内外のレーベルから、8枚のオリジナル・アルバム、3枚のリミックス・アルバムを発表。