1分コラム

ある屁のことで
ございます。

おならにほえど きゑぬるも・・・

様々な物語を紡いでは消える、儚いおならのあれこれ。

Dec 28, 2017

ある屁のことでございます。 第1回

 
ある屁のことでございます。
 
南町通りとサンモールの交差点、オフィス24の前で信号待ちをしていたら、目の前のおじいさんが左手にカモをぶら下げていた。素のカモ、と言えばいいのか、袋に入れているわけではなく、カモの首をつかんでいる。いや、素のカモってなんだ。とにかく、嘴が黄色で頭が緑、羽のあたりは茶とグレーの動いていない鳥を見て、僕は、素のカモだ、と思った。

僕は群馬で育った。家から自転車で少しのところに田んぼもあったし、低いけど山もあった。でも鳥の首を手に握り、信号待ちをしている人に出くわすことはなかった。しかも素のカモだ。自然と目はカモを握る左手に向かう。少しずつ、体も近付いていたように思う。ゆらーっと自分の体が前に傾くような感覚があって、気付いたらおじいさんが動き出していた。信号が青になったのだ。その時だった。おじいさんは、長い屁をした。歩きながら、いつ終わるともしれない長い屁だった。長い屁の後も、小刻みにリズムを打つような音が止まらない。もしかしたら、何か小刻みな屁のような音が、たまたま近くで鳴っていただけなのかもしれない。でも僕には、周囲を見渡して『何か小刻みな屁のような音』を確認するような余裕はなかった。なぜなら僕は既に、おじいさんのプー連続帯に突入していた。

素のカモはダミー(だまし)で、おじいさんの本当の目的は僕をプー連続帯に誘い込むことだったのだ。完全に捉えられてしまった格好の僕は、結局サンモールのアーケードが終わるまで、つまり次の信号まで、おじいさんの後ろにぴったり付いて歩いていた。少し匂ったけど、不思議と嫌な気はしなかった。

 

おならカルタ、好評発売中です。
https://onarakaruta.stores.jp/
 
おならカルタは、仙台と東京のお店でも販売しています。
お店の情報などはこちらからご確認ください。
→フェイスブック・インスタグラムは「おならカルタ」で検索
→ツイッター:ムードセンターまつむら/@BonMatsu

Posted in 1分コラムTagged
おならカルタ
おならのことだけを考えてカルタを作りました。 絵札は、漫画家・長尾謙一郎氏によるオール描き下ろしです。 おならのことが好きな人もそうでない人も、 すかしている人も握っている人も、 みんな集まっておならカルタで遊んでください。 おならカルタ 2017 ©️絵:長尾 謙一郎/企画・読み札:松村 洋

pagetop

BGM of "BGM"

antennasia san (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。soundcloud