特集 お仕事の極み

株式会社ワイヤードビーンズ
IT&ものづくり事業で、仙台発のグローバル企業に

今回は、ITとものづくりという、一見相反する事業を展開する株式会社ワイヤードビーンズをご紹介します。
2009年に設立された同社は、「デジタルソリューション」と「日本の職人のものづくり」の2本柱で、世界規模の仕事を手掛ける今注目の成長企業です。

Apr 30, 2019       

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

強みは“地域”!
IT&ものづくり事業で、仙台発のグローバル企業に


「生涯を添い遂げるグラス」は、秋田杉の木箱に入れて出荷される


マグやグラスはデザイン性に優れ、グッドデザイン賞をはじめとするを数多くの国際的な賞を受賞している

設立の理由は、Uターン先がなかったから!?

代表取締役の三輪寛さんが2009年に会社を立ち上げたきっかけは、なんと「Uターン先がない」という理由だったそう。

「大学まで仙台にいて、その後東京の商社のIT畑で働いていたのですが、仙台に戻りたくて。転職活動でいくつかオファーをいただきましたが、どこも下請けの会社ばかりだったんです。『自分たちでビジネスを成長させなくては意味がない』という思いがあったので、その時に出会ったメンバーと創業。お金儲けのために立ち上げた会社ではなく、Uターン先を創ろうということで立ち上げたんですよ」

ITは、地域密着型産業
仙台にあるからこそ、成長できる

IT事業ではネットショップに特化してきたそうです。

「“セールスフォース”という世界シェアトップクラスの営業支援ツールを使って、世界的ブランドのネットショップを作っています。そのセールスフォースの日本シェアナンバーワンなのが当社なんです。2017年には、『ベストパートナー・イン・ジャパン』のトロフィーをいただきました」と話す三輪さん。

セールスフォースの「ベストパートナー・イン・ジャパン」のトロフィーを前に。日本ナンバーワンの証!

その強さの秘訣は何なのでしょう?

「仙台にあるということです。マイクロソフトやグーグルなど、世界的な大企業になっている会社も最初は結構な田舎にあったんですよ(笑)。うちも、東京で戦っていたらいろんな波にのまれてしまうけれど、仙台に本拠地を置けば、地元行政から支援を受けられたり、地域の優秀な大学と連携が図れる。だから仙台から離れるということは考えられないですね」

そして「グローバル企業のように、スタッフを数百人までは増やしたいです。お客さまから選ばれるIT企業として世界と戦っていく、ということを仙台でやります」と、なんとも力強いお言葉。

三輪さんは「マーケットシェアトップクラスなので、今はお客さまからお話をいただける。仕事をもらうというのではなく、そのブランドさまの仕事を受けるか、受けないかというスタンスですね。常にトップを目指さないと、価格競争に巻き込まれてしまいますから」と話します。

IT事業があるからこそのものづくり

IT事業で群を抜くワイヤードビーンズで、なぜものづくりにも関わろうと思ったのでしょうか。

「私がきれいなものが大好きだからです(笑)。職人さんに普段使いできるきれいなものを作ってもらって、それを私たちのIT事業でサポートしよう、と。これまでの経験から、そういう商品を求めるお客さまはインターネットの中にいる、と知っていましたから。だから私たちは、プロデューサーであり、デザイナーであり、リテイラーなんです」

ワイヤードビーンズの看板商品は、「生涯を添い遂げるグラス」や「生涯を添い遂げるマグ」。
使う人と作り手である職人との関係の継続を願い、「生涯補償」という仕組みを作りました。
購入者が製品を破損しても、新しい製品と交換できるという驚くべき補償。これがなんと、一生涯続くのです。

「単なる『もの』ではなく、暮らしに寄り添うものですので、こうした仕組みを作りました」


創業の経緯、そして今後の事業展望について話す三輪代表取締役

仙台からグローバル企業に
ワイヤードビーンズの挑戦は続く

本社が移動してちょうど1年。
ガラス張りのオシャレなオフィスは、ショールームも兼ねており、ワイヤードビーンズが目指しているものを地域の人たちに見てもらえるようにしました。

広々としたオープンスペースでは、商談会や仙台市主催の経営に関するイベント、人材育成事業などを開催したそうです。


ワイヤードビーンズの本社はショールームも兼ねており、製品も購入可能


オフィスでは経済塾などのイベントを催すこともあり、産官学連携の「場」を提供することにも一役買っています

「私たちの会社は本気で大きくなっていこうと思っているので、これからは新卒も採用したい。何ができていたかではなく、何がこれからできるか。広い興味を持っている学生さんをリクルートしていきたいです」

ワイヤードビーンズが、ここ仙台からどんな世界的企業になるのか。目が離せません。


社内には、なんとバーカウンターも併設


打ち合わせスペースでは活発な意見交換が行われている。この活気こそがワイヤードビーンズの成長の源


外国人スタッフの姿も。三輪さんは「今後は半分くらいが外国人スタッフになっているかも」と話す

IT事業の大黒柱は、文系出身のUターン組!


文系男子だったという長谷部さん。今やデジタルソリューション事業部の大黒柱に

デジタルソリューション事業部で働く長谷部孝典さん。
東京のウェブ制作会社で働いた後、結婚を機にUターンでワイヤードビーンズに転職。今は、グループマネージャーをしています。

「現在4年目で、デジタルソリューション事業部の営業をしています。仕事の内容としては、コンペに参加するのと、リリース後のサポートです。今は、週3で東京に行って、クライアントと打ち合わせをしたりしています」

営業職であるため、クライアントとやりとりがメインになるという長谷部さん。

「お客さまとの会話の中で信頼をつくっていくことを心掛けています。また、お客さまの会社やその業界についても知らないといけません。なので、課題がどういうところにあるのかを、いつも考えています。今はアパレルメーカーや化粧品会社を担当していますが、そういった業界のネットショップはいつもチェックしていますね」

経歴を聞いてバリバリの理系かと思いきや……。
「私は文系学部の出身なんです。ただ、何をするにしてもウェブの知識がないとダメだと思って、IT企業に就職したんです。知識が必要な部分は当然ありますが、文系の方でも大丈夫ですよ」とのこと。

そんな長谷部さんに仕事のやりがいについて伺いました。
「まだ若い会社なので、その成長を生で感じられることですね。自分のやってきた仕事が成長につながっているのって、すごいと思うんです。あとは、やっぱり私は営業なので、コンペで勝てたときはうれしいです(笑)」

「生涯を添い遂げるグラス」でIターン転職を決意!


転職するまで、東北にほとんど縁がなかったという吉島さん。休日には東北の山登りを楽しんでいるそう

ものづくり事業部のセールス&マーケティングに所属する吉島有紀さん。
現在は、アカウンティングマネージャーとして、法人営業を担当しています。

「会社の50周年の記念品を作りたいとか、永年勤続の社員や取引先に贈る……などのコーポレートギフトを担当しています。営業先としては、広告代理店や百貨店の外商、一般企業の総務などです。受注を受けたら、その内容を持って職人さんのところに行ってお願いして……という感じです」

大学卒業後、東京のECモールの企画部で働いていたという吉島さん。ワイヤードビーンズ就職のきっかけは、看板商品の「生涯を添い遂げるグラス」だったそう。
「友人からビールグラスをもらい、商品のホームページを見たんですよ。なんて素敵なコンセプトなんだろうって思って、すぐに『働きたいんです!』って電話しました(笑)。そうしたら、ちょうどタイミングよく社長が東京に来るとのことで、東京で面接していただきました」

「生涯を添い遂げるグラス」は、壊れたら新品と交換してくれるというもの。交換する新品も、もちろん職人さんの手作りです。

「先日は亡くなった奥さまからプレゼントしてもらったグラスが壊れてしまって……という方から、交換を希望してグラスが送られてきました。そういう購入者の方のお話も職人さんにできますし、すごく『人』を感じることができる仕事なんです。以前の仕事がビッグデータと向き合う仕事だったので、余計にそれを感じるのかもしれません。『生涯を添い遂げるグラス』のおかげで、本当にやりがいのある仕事に巡り会えました」

※こちらの記事は、2019年4月30日河北新報朝刊に掲載されました。

株式会社ワイヤードビーンズ

2009年設立。仙台に本社を構え、国際的な企業のネットショップ構築をメインとした「デジタルソリューション事業」と、職人と共同で製品を開発する「ものづくり事業」を展開。「現代に合った新しい職人の仕組みづくり」やU・Iターンの受け入れ企業となることを目指している。 https://www.wiredbeans.co.jp

撮影 Harty(川島 啓司)

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岡沼美樹恵
大学卒業後、東京の出版社でTV誌の記者として勤務。その後フリーランスのライター、編集、翻訳・通訳に。得意分野はエンタテインメント、インタビューと食。食べることと旅することが大好きで、夢は世界一周グルメツアーに出ること。

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BGM of "BGM"

antennasiasan (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。現在(2018年)まで、国内外のレーベルから、8枚のオリジナル・アルバム、3枚のリミックス・アルバムを発表。