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仙台大観音のあだ名は
『ジュンコ』?

中山にある仙台大観音が『ジュンコ』と呼ばれているという噂を聞きつけ、宮城の珍百景を見つける達人であり、芸人もどきライターかぶれのイタリーさとうが、真実を巡る小さな旅をする。果たして本当に『ジュンコ』と呼ばれているのか?その結末やいかに。

Dec 28, 2017

イタリーさとうの修行道へようこそ。時にライターとして宮城の気になることを駆け回り、またある時は芸人の舞台に上がり、さらには司法試験よりも合格率が低いと言われる宮城マスター検定に挑み落ち続ける。そんなイタリーが宮城を代表する何者かになるため、まだ知らない世界や文化へ、若気の至りが許される限り踏み込んでいく。

 

連載「若気のイタリー」第1回

仙台大観音のあだ名は『ジュンコ』?

 

 

私がこの噂を知ったのは、東京ダイナマイト(サンドウィッチマンが尊敬するお笑い芸人の一組)というコンビの漫才全国ツアーを収録した2007年発売のDVDだった。
彼らが2006年の仙台公演の出番前に、観光として仙台大観音を訪れていた。
ハチミツ二郎氏が「仙台にすごいものがある」と案内した観音を目の前に相方の松田大輔氏が「うぁ〜でっけぇ〜」などと素直に驚いている様子は、あの超巨大観音に見慣れてしまっている私たち仙台市民にとっては、はっとさせられる新鮮なリアクションだ。

そして、仙台公演の出番直前、舞台袖で二郎さんが相方の松田さんに仙台の知人から来たという1通のメールを見せる。

「さっき行ったあの観音様の名前、純子さんらしいよ。」

初耳だった。一体誰がジュンコさんと呼んでいるのか、お笑い鑑賞どころではなくなりすぐにDVDを止めてネットで調べた。
しかし有力な情報は得られず、かろうじて引っかかった情報も2chの仙台大観音にまつわる話題で「純子って名前なことはあまり知られてない」、twitterでは「中山の観音は純子!忘れないで!」というどちらも謎めいた情報だけしか得られず、核心に迫ることはできなかった。

これは実際に行って聞くしかないと思った。
車を持たない私は、愛用の自転車で限りなく名取市に近い仙台市の南端から、純子さんが佇む南中山に向かった。
ところがだ。噂の真相を知りたいという思いだけで漕ぎ始めた自転車が、福祉大あたりから始まる永遠と続く坂道で止まり始めた。
降りて歩いた方が速いんじゃないかという疑念を抱きながらも、なぜか私は降りたら負けだというどうでもいいプライドが芽生え始め、必死になって漕いだ。
貝ヶ森の住宅地を抜けると、ただひたすらにゆるやかに登る直線が続き、そして目の前に純子さんが見えてきた!
そこに見えているのにも関わらず全然辿り着かないもどかしさ。
私は、二度と自転車で来るか!と思いながらさすがに疲れたので、休みながら周辺の施設に聞き取り調査をしてみることにした。

 


 

まずは、近くに見えた中山の交番で足を止めた。
忙しそうではないか様子を伺いながら慎重に、恐る恐る純子さんについて尋ねてみた。
「いや〜聞いたことないね」
「それにここはまだ青葉区だから」
そうか、中山は青葉区で純子さんのある南中山は泉区だった。
なんだろうか、本店と支店の関係だけど味は全然違う飲食店みたいな感じ。

それはさておき、近くのコンビニや南中山の市民センターにも尋ねたが、こちらでも似たような答えが返ってきただけで、何も手がかりを得られないまま目的の純子さんの前に着いた。もうここで聞くしかない。

 


 
入館料500円を払って純子さんの胎内に入る。私は以前から何度か中に入ったことがあるが、仙台に住む知人、友人に聞いても意外と入ったことがない人が多いようだ。
外国人観光客にも人気。訪れたときも平日だったが何組かの外国人観光客がいた。
 

 
中に入るとまずたくさんの観音像があり
 

 
エレベーターを使って上まで登ると
 

 
御神殿の入り口があり、
 

 
選ばれしものしか抜けなさそうな剣があります。
 

 
純子さんの最上階からは海もばっちり見える。
 

 
純子さん、身長が100mもあるんで夜は航空機がぶつからないように航空障害灯が設置されてます。
 

 
内部は降りながら煩悩の数と同じ108体の仏像を巡礼するという流れ。神秘的。

さて、一回りしてから受付の女性に純子さんの噂について尋ねた。
噂を知った経緯など詳しく話したところ笑いながらその女性は答えた。

「まず、それは都市伝説だと思います。」

「えーーーーーー!!!!」

ここまでの苦労をあっさり斬り捨てられた時の気持ちがこんなに素直な言葉で口から出て来るとは自分でも思わなかった。

「それで、ちなみにですけど….」

と、続けて受付の女性が

「私、下の名前が、ジュンコです。」

「えーーーーーー!!!!」

字面では同じでもこの場合は全く意味が違う!

「でも!でも!でも!でも!」

次はなんだ!彼女の言葉に私は完全に踊らされていた。

「ジュンコは、順番の順で順子なので違うと思います。それに私、ここに来たのが平成25年なので〜」

そう、あのDVDでジュンコさんの話しが出たのは2006年で平成18年、年代のずれがあるので受付の順子さんが由来となった可能性はない。
その後お話を続けてもそれらしい情報は何一つわからなかった。

あの日の観音取材からたくさんの知り合いに、ジュンコさんと呼ばれていることを知っているか?と聞いて回ったが私の周りでは誰一人知る人はいなかった。

誰が純子さんと呼んでいるのか?なぜ純子さんなのか?
受付の女性が言う「都市伝説」にしか過ぎないのか?
だとしても確実に純子さんと呼ぶ人がいる以上、この噂は引き続き調査したい。
私1人の力ではどうにも辿り着きそうにないので、何か情報を知っている人はぜひ教えてください!

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イタリーさとう
1993年宮城県仙台市生まれ。通称よっくん。地元仙台を拠点に活動するローカルフリーライター/宮城マスター検定見習い。地元の魅力あるものにスポットライトを当てて記事や映像で輝かせることが得意。仙台のカルチャーウェブマガジン「SEN.」などに寄稿。現在は利府町のシェア型複合施設「tsumiki」スタッフとして企画・運営に関わる。また、お笑い芸人としてもたまに活動中。特徴の太いまゆげは先祖代々の遺伝子情報に記載。

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antennasia san (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。soundcloud