BGMのオススメ

針を落とせばあたたかい音
春からレコード生活のすすめ

仙台は一番町にあるLOOSE RECORDS。最新の邦楽から過去のレアなレコードまで、店長の土井さんのセレクトが並び、仙台の若いレコード愛好者が信頼する楽しいお店だ。この春、大学を卒業し新社会人になったぽんちゃんが、レコード生活を充実させるべく、土井さんにレコードの魅力やお店のこと、オススメの曲などを教えてもらった。

Apr 18, 2018   

平成生まれ昭和育ちの新社会人、ぽんちゃんこと伊藤優果の連載、「時の流れに身をまかせない!」。
流行や周りの人たちに流されて生きるのではなく、時の流れに身をまかせないで、
ただただ自分の好きなものや好きなことをとにかく追い続けて地に足付けて楽しく生きたい!
そんな思いを胸に、音楽から食まであらゆる文化を探しに出かけます。さて、今日は?

 

連載「時の流れに身をまかせない!」第4回

 

針を落とせばあたたかい音
春からレコード生活のすすめ

 


 
私は知ってしまった。レコードで音楽を聴く楽しみを。「よし、針を落とすぞ……!」と、まだまだレコードビギナーの私は毎回息をのんでレコードを回すのだけれど、その瞬間のドキドキ感がたまらない。そこからジリジリっとノイズが聴こえて、曲が流れる。心なしか音の響きがCDとは違うし、もちろんスマートフォンで聴くデータの音楽とはまるっきり違う! とは言いつつもなかなかレコードを集める機会がなく、せっかく買ったプレーヤーを使いこなせていない。そこでレコード生活をもっと充実させようと、仙台でLOOSE RECORDSを営む土井さんに、レコードの魅力やお店のこと、オススメの曲などたっぷりお話を聞いてきた!

ようこそLOOSE RECORDSへ
働きながら好きなことを仕事にしている土井さん

 

LOOSE RECORDS 土井さん(以下、土井)
ぽんちゃんは、普段レコード買ったりしますか?

ぽんちゃん(以下、ぽん)
私、去年初めてレコードプレーヤーを買ったんです。カネコアヤノの『群れたち』のレコードがどうしても欲しくて。いずれ買おうかなと思ったらすごい人気だったみたいで、売り切れたらどうしよう!と思って、プレーヤーを買う前にレコードを先に買っちゃいました(笑)。その後プレーヤーも買ったんですけど、しばらくはその1枚しか持っていなくて。まだフルに使いきれていない気がします。

土井
そういう人は、うちのお店でも多いですね。好きなアーティストがレコードを出したから欲しいって買って、プレーヤーどれが良いですか? っていう話をされたり。

ぽん
そういうときは、どんなプレーヤーをお勧めしているんですか?

土井
手軽に聴けるスピーカーが付いた一体型のものですかね。スピーカーが内蔵になっていて、データにもできるし、たしか1万円くらいで買えたかな。

ぽん
そういうのだと手軽に聴けていいですよね。

土井
あとGP3っていうポータブルプレーヤーがあるんですけど。例えば、このてんとう虫型のプレーヤー。

ぽん
うわぁ、とても可愛い!可愛いすぎる!これは電池式ですか?

土井
そうですね、あとコンセントでも。音がチープで、ラジオのような音がします。

ぽん
これ売り物ですか?!おいくらですか(笑)?!

土井
欲しい人がいたら売りますよ(笑)! 6800円くらいかな。

ぽん
これだったら外でも聞けますもんね。

土井
例えば『ルージュの伝言』とか聴くといい感じ。

ぽん
うわぁ、ヤバイ。興奮します! 音も可愛い。

土井
ね! チープだしいいですよね。

ぽん
『ルージュの伝言』にぴったりですね。

土井
こういう感じです。状態が悪いプレーヤーも結構あるんですけどね。

ぽん
これはどこから見つけてきたんですか?

土井
ネットです。中古で探しました。今は生産してないので、探すのが大変なんですよ。

ぽん
そうなんですか!ありがとうございます。貴重な音を聴かせていただいて……!
このお店を開いたきっかけは何だったんですか?

土井
もともと色んな中古レコード屋さんで働いていたんですよ。最初は24歳くらいの時に「ディスクノート」で働いていて。あと一番町にあった頃の「J&B」や「ボリュームワン」ですね。

ぽん
じゃあずっとレコード屋さんなんですね! それ以外には何かお仕事されていたこともあったんですか?

土井
今もずっと新聞配達やっていて。働きながら好きなことを仕事にしています。

ぽん
えー! かっこいい!

土井
そうそう、レコードストアデイっていうイベントが毎年4月にあるんです。このイベントはレコードの文化を広めるためのお祭りで、主にうちのような小さなレコードストアに足を運んでもらって、レコードを手にする楽しさを味わおう、というものなんです。その日に合わせてたくさんのレコードが発売されるんです。

ぽん
レコードストアデイ、聞いたことがあります!
たしか、レコードストアデイに発売されるレコードは、通販では買えないんですよね。

土井
そうです。予約も受け付けないんです。だからなかなか新譜とかが買いづらいので、自分でやってみようかなと思って、2015年の3月にこのお店をオープンさせたんです。4月のレコードストアデイに間に合うように。

ぽん
そんな経緯があったんですね!

土井
そうそう、自分のお店を開けば、新譜のレコードとか買いやすくなるかなって。

ぽん
このお店を開いたとき、レコードのセレクトは全て土井さんがなさっていたんですか?

土井
そうですね。最初は本当に私物だけ置いていて、中古っていう形で販売していました。その後レコードストアデイをきっかけにいろんな会社と取引をはじめましたね。

ぽん
お店で扱っているレコードは、土井さん好みのセレクトなんですよね!

土井
そうですね。DJをやっているので、DJ向けが多いかもしれないです。

ぽん
ここに置いてあるレコードは、よく見る大きなサイズのレコードより小さなサイズのシングル盤が多いですよね?

土井
うちのお店、シングル盤が多いんです。自分がシングル盤好きっていうのもあるんですけどね。

ぽん
なんでですか?

土井
見本盤でしか出てないのが多いんですよ。見本盤っていうのは、レコード会社がプロモーション用につくったもので、正規に販売されているものではないんです。プロモ盤と呼んだりします。
たとえば、山下達郎

ぽん
山下達郎! うわ、最高じゃないですか!

土井
『Windy Lady』って曲があるんですけど。
これはまさにプロモ盤で。「Not for sale」って書いてあるんです。

ぽん
なんと…! これはきっと高価だったんじゃないですか?

土井
高かったですね〜(笑)。そしてこれは有線の。もとは売り物じゃないんですけど、どこかから流れてきたのかな。こういう、実際には発売されていないのに実はシングル盤で出てたっていうレコードが多くて。

ぽん
これは見つけたとき感動しますよね! シングル盤、奥が深い。ちなみに仕入れって、どのようになさっているんでしょうか?

土井
レコードショップであるディスクユニオンやジェットセット、レコードのプレスをしている東洋化成などが流通の窓口をしているので、「このレコードを何枚欲しいです。」とメールで問い合わせしてますね。小さいところとかは直接やり取りしています。扱い始める時は、「うちで扱いたいので……。」と連絡して。

ぽん
直接ご自分で全部手配されてるんですね。

CDやデータの時代にレコードな理由

ぽん
置いてある商品はほぼレコードかと思うのですが、今はCDやデータで音楽を聴くことが多い中で、レコードのお店を開かれたのはやっぱりDJをされていることやレコード屋さんで働かれていたことなどが大きいんですか? そんなにレコードに惹かれるのはなぜでしょう?

土井
なんでだろうな。CDとレコードが同時発売の時とか、レコードだと枚数限定が多くて。とりあえず買っておこうかな、と。CDならいつでも買えるかなって思うし。あとはジャケットですよね。

ぽん
大きいと部屋に飾ってもインテリアになりますよね。

土井
大きいと場所取るんですけどね(笑)。なんていうんですかね、絵を買うイメージ。

ぽん
それはすごく良い言葉だ! 知らないアーティストのものもジャケットで?

土井
そうですね、買って聴けていないのもあるんですけど。そういえば、ぽんちゃんがインタビューしていたCHAIの『PINK』をレコード買ったんですよ。でも買って満足してまだ聴いてなかったんです。やった~、手に入った! って思って(笑)。今かけてもいいですか?

ぽん
ここで初めて! 私もCDは持っているのですが、レコードは持ってなかったんです。ぜひお願いします!

ぽん
うわ〜、音が良い!

土井
やっぱりCDと比べて違いますか?スピーカーやアンプによってもだいぶ変わりますけどね。

ぽん
違いますね、全然!

土井
レコードの一番の魅力は、やっぱり物を持つっていうことですかね。データだと味気ないですよね。

ぽん
それはものすごく感じますね。音楽が好きな人はレコードやCDを買う人もたくさんいますけど、YouTubeで聴いて終わりみたいな人も多いと聞いて、なんだかさみしいなと思うんです。CDよりレコードを選ぶ理由はありますか?

土井
もともと古い音楽が好きなので、自然とレコードで聴きたいなって思って。それと単純にかっこいいかなと。

土井さんオススメの3枚
同じ時代に生きられてよかったと思えるアーティスト

ぽん
このお店は、同じ空間に洋服がたくさん置いてありますが、別なお店なんですか?

土井
そうなんです。洋服屋さんに場所を借りていて。

ぽん
きっと洋服を見に来た人もレコード買っていってくれますよね。

土井
はい、逆もありますね。
レコード屋さんに、ふだん行きますか?

ぽん
あんまり行く機会がなくて……。 それこそレコードプレーヤー買ったきりだったんですよね。そんな私にお勧めの3枚をお願いできますか(笑)!

土井
何ですかね(笑)。好きなアーティストを買うのが一番ですよ。
でもまずはこれでしょう、Yogee New Wavesの『WAVES』。同じ時代に生きられてよかったと思えるんですよね。現在進行形日本語ロックの最高峰かなと思うので。


Yogee New Waves / World is Mine(Official MV)

2枚目は、くるりの『その線は水平線』。今日発売(2018年3月21日)なんです。静かに熱い感じがシンプルで良くって。


くるり / その線は水平線

ぽん
新曲ですか? 帯のデザインがすごく良いですね! かわいい。

土井
そうですね。これも初回限定生産です。最初にCDが出ていて、それも1万枚限定とかだったかな。セルフ・ライナーノーツを読みながら聴いてもらえるといいかもしれないですね。

ぽん
くるり、実はちゃんと聴いたことがなくて。うれしいです。そして、土井さんのレコードをめくる手の動きがすごい! 速い、速すぎる!

土井
毎日やったらできるようになりますよ(笑)。

ぽん
ジャケットが古いのもいいですね。レコードは本当に絵になるなぁ。あれっ、これってもしかしてG.RINAですか?

土井
そうです、そうです。G.RINAは結構人気で、レコードが出ると必ず入れていますね。G.RINA聴くんですか?

ぽん
はい、フェスで聴いてから好きになりました。

土井
だったらこれがオススメですね。『LIVE&LEARN』。LOOSE RECORDSでも人気だし、個人的にも大好きなんです。クラブへ遊びに行かないような人にもオススメしたいです。よし、これにします!


G.RINA / close2u (Special Version with lyric)

ぽん
わ〜ありがとうございます! くるり、気になるな。買っていこうかな!

春からはじめよう! レコード生活のすすめ

ぽん
私みたいな、レコード生活を始めたいけれどなかなか……っていう人や、プレーヤーを買ったもののなかなかレコード屋さんに足を運べていない、という人もきっといると思うんです。そんなレコード生活への一歩を踏み出したい人のために、レコードの選び方とか、聴く楽しみ方があれば教えて頂きたいです!

土井
この間、4月から大学生になる男の子がお客さんで来て、そしたら内ポケットに昔のウォークマンを入れてて。

ぽん
えっ、渋い! かっこいい!

 

土井
逆に今イケてるっていうか、新鮮に感じているんでしょうね。それから、レコード市のレジ打ちのバイトもしているんですけど、高校生か中学生ぐらいの女の子とかが来て、チェッカーズとか昔のアイドルのレコードを買っていくんですよ。何周かして、アナログなものをみんな楽しんでるのかな、と。

ぽん
そんなに若い子達も。プレーヤー持ってるんですかね?

土井
買っているか、お父さんやお母さんのを借りているか。

ぽん
レコードの選び方も何かありますか? このアーティストが好きだからこのレコード買おう、っていうのはもちろんあると思うんですけど、それ以外では?

土井
やっぱりジャケ買いかな?

ぽん
ジャケットが好みだなと思って買って、聴いたら「あっいいじゃん。」見たいな感じですかね。

土井
外れも多いんですけどね(笑)。
それから、自分が好きなアーティストがこういうのを聴いていたとか。

ぽん
確かに、聴きたいかもってなりますね。

土井
好きなアーティストがアナログを出していたらそれを買うのが一番なんでしょうけど。どっから手を出したらいいかわからないですもんね。

ぽん
なかなか難しいですもんね。私も一枚買ってそれっきりだったので。

土井
あとはレーベルで買っていくとか!例えば カクバリズムというレーベルはアナログで出すアーティストが多いと思いますよ。

ぽん
その買い方も良いですね!
仙台には他にLOOSE RECORDSのようなレコード屋さんはありますか?

土井
仙台だと「ボリュームワン」、「J&B」じゃないですかね。あと、駅前のパルコやイービーンズでやっているレコード市とかは入りやすいですよね。

ぽん
確かにレコード市だと入りやすいですね! いろいろ見られるので良さそう。

土井
仙台だと店舗が少ないので限られてしまいますしね。

ぽん
ちなみに、土井さんが初めて買ったレコードってなんだったんですか?

土井
高2か高3の時にHi-STANDARD、ハイスタが7インチを出したんですよ。シングル盤の。それが最初ですね。ハイスタをずっと聴いていて、レコードを出すって聞いて、買わなきゃって。

ぽん
やっぱりプレーヤーを買う前にレコードを買ったんですね!

土井
そうですね。親にプレーヤーがあるか聞いたらまだあったので、それを引っ張りだしてきて。

ぽん
やはり好きなバンドから入っていったんですね。


LOOSE RECORDSオリジナルステッカー。イラストはイラストレーターのoyasmurさんによるもの。

今年もやってくるレコードストアデイ

ぽん
それからさっきレコードストアデイのお話をされてましたけど、今年もたくさん入荷しますか?

土井
たくさん入れます!80タイトルぐらいあるのでそこから厳選して自分っぽいのを入れますね。

ぽん
やっぱりお店の色ってありますもんね。私も今年はすごく楽しみなんです。なにせプレーヤーがあるので(笑)!気合を入れて買いに来ようと来ます。江本祐介は入りますか?

土井
入ります!

ぽん
C°-want youは?

土井
入ります!

ぽん
やった! レコードに馴染みのない人でも、レコードストアデイをきっかけにお店に来ると意外ととっつきやすいかもしれないですよね。やっぱりこのイベントの意図っていうのは、レコード屋さんに来て買ってもらうというのが意図なんですもんね。

土井
そうですね。もとは小さなレコード屋のためのお祭りなので。

ぽん
今年もたくさん来てくれると嬉しいですね。

土井
はい…! 去年、一昨年はオープン前から並んでいたりしましたね。

ぽん
本当ですか! それは並ばなければ!

土井
うちもそんなに枚数自体は多く入れていないんですよ。タワーレコードで売り切れてこっちに来たりするお客さんもいたり。でもこっちも売り切れてて、すみません〜!みたいなこともありました(笑)。今年も仙台だとタワーレコードとうちだけですから。

ぽん
頑張って並びに来たいと思います!
どんな人に来てもらいたいですか?

土井
新しい音楽に出会いたい人とかですかね。出会いを求めているような人。

ぽん
ちなみに、レコードの試聴はやっているんですか?

土井
中古ならやってます!「こんな感じでなんかありませんか?」とか聞かれたりもしますね。少し悩んでしまいますが(笑)。

ぽん
でも多分そういう風に土井さんに聞きたい人はきっといると思いますよ!聞いたら答えてくれますか(笑)?

土井
頑張って探します(笑)。

今年のレコードストアデイは、4月21日(土)。レコードマニアのお兄さんも、レコードに興味があるけれど何を買おうか迷ってしまうお姉さんも、どこで買えばいいか悩んでしまうそこのあなたも! レコードストアデイはLOOSE RECORDSへお気に入りアーティストのレコードを探しに行ってみては? せっかくお店に足を運んだなら、新譜だけじゃなく中古レコードの箱ものぞいてみよう。運命の1枚が眠っているかも……!

レコードストアデイ
http://recordstoreday.jp

 

LOOSE RECORDS(ルーズレコード)

住所 仙台市青葉区一番町1丁目15-7 営業時間 13:00〜20:00 水曜定休 Instagram @loose_records http://looserecords.theshop.jp

 
編集 高野明子  撮影 三塚比呂

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ぽんちゃん
仙台生まれの大学生。ゼミで、まちづくりについて学んでいる。両親が使っていたフィルムカメラを譲り受け、撮影の練習中。まちを歩きながら、レトロな看板や面白い看板を見つけるとつい撮ってしまう。荒町の喫茶店「ぴーぷる」のナポリタンが大好き!仙台の文化の点を線でつなぐカルチャーウェブマガジン「SEN.」のライターでもある。

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BGM of "BGM"

antennasia san (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。soundcloud