特集 お仕事の極み

全国に誇る、本気の
レトルト岩沼にあり!

長期保存ができて、食べたいときにさっと温めて食べられる、便利なレトルト食品の価値をもっと高めたいと、日々開発に取り組んでいるのが岩沼市にあるにしき食品。お客様相談室室長として広報・プロモーションを担う齋藤幸治さんに話を聞きました。

Mar 31, 2018   

人の心を動かす優れた仕事をしている方にお話を聞く特集 “お仕事の極み”

全国に誇る、本気のレトルト岩沼にあり!
カレーにスープ、パスタソース!
お手軽で、おいしくて、おしゃれ 
忙しい現代の救世主・レトルト食品

齋藤さんはもちろん、大のカレー好き。「インドカレーは1日3食、3日間食べても食べ飽きません!」と豪語するほど

 

レトルト=おいしくないの方程式にさようなら

水や塩、調味料、食材にとことんこだわり、化学調味料や合成着色料、香料を使用しないレトルト商品を製造・販売するにしき食品。現在100種類ほど揃う自社ブランド『にしきや』のカレーやスープなどの商品をはじめ、他社から依頼をうけ、*¹PBや*²OEM商品を数多く手掛けています。
「2017年に、初めてレトルトカレーの売り上げが、カレールーの売り上げを越えたという調査(インテージ社調べ)がでました。レトルトって、『まずい』とか『手抜き』とかネガティブなイメージが大きかったと思うんです。でも共働きの家庭が増えた背景や震災を契機にした保存食という観点では、とても便利で生活を支えてくれるもの。だからこそおいしいものを作って、レトルトの価値を高めたいと思っているんです」と齋藤さんは語ります。
*¹PB(プライベートブランド)。小売店や卸売業者が独自ブランドとして販売する商品
*² OEM(オーイーエム)。original equipment manufacturerの略で、製造の技術やラインを持たない他社ブランドの商品を生産すること

人気No.1のレモンクリームチキンカレー。レモンの香りがさわやかで、生クリームのソースがとてもマイルド

 

あの商品もにしき食品謹製! ヒットを生み出す開発力

あそこで売っているカレーっておいしいよね! そう思う商品に出合ったら、それはもしかすると、にしき食品が作った商品かも!? 誰もが知っている某大手生活雑貨ブランドや大手輸入食料品販売店のレトルト商品も実は、にしき食品が手掛けているもの。
「PB・OEMでは、企画から商品開発をお手伝いしています。使いたい食材や味のイメージなど、お客様の要望や思いをくみ取りつつ、時には『次はこういうカレーがくると思いますよ』なんてアドバイスをすることも。お客様が求める商品を作るのは当たり前ですが、より良いものをご提案できるよう、納得のいくものができるまで、何度も試作・試食の繰り返し。会社のトップはそんな現場を信頼し、現場の裁量に任せてくれています。某ブランドのカレーは各所からおいしいという声が聞こえてきて、とてもありがたいです。会社の名前は表に出ない、黒子の役割ですが、一緒に市場を作り、レトルトの価値を高めることができているなと実感しています」と齋藤さんは嬉しそうに話します。
年間レシピ開発数は100種類以上。そのたくさんの開発から得た新たな発想や技術力は、自社ブランドである『にしきや』の製品作りにも活かされています。

本社併設の直売所。内祝いや季節の贈り物など、ギフトの提案も積極的に行っている

 

インドの旅から誕生した本気のインドカレー

数あるにしきや商品の中でも注目したいのは、インド料理シリーズ。チキンカレーやキーマカレーなど、おなじみのインドカレーから、ちょっとマニアックでパンチの効いたカレーまで、その数なんと32種類! 以前は牛たんカレーなどのご当地カレーを中心に作って販売していましたが、「どこでもやっていることをやってもおもしろくない。一地方のレトルト食品メーカーで終わるんじゃなく、会社の確固たる開発・技術力を誇示する顔となる商品を作りたい」と考え、たどり着いたのが、カレーのルーツであるインドカレーだったそう。
「最初は都内のインド料理店の食べ歩きからスタート。日本は北インド料理のレストランが多かったのですが、ちょうど食べ歩きをした頃から南インド料理の店が少しずつ出てきたので色々調べて足を運びました。改めて、こんなに多彩でおもしろいカレーはないと思いましたね(笑)その後『実際に行っちゃおう』と2010年にインドへ。一流ホテルのレストランから、ファストフード、家庭料理まで、本場の味を学びました。インドは大きい国ですから、地方や家庭によって使っている食材やスパイスは本当にさまざま。その奥深さが衝撃的でしたね」と感慨深げに語る齋藤さん。現地で学んだ味はスパイスの調合からスタートし、幾度も試作を重ね、翌年に1作目が完成。以降も毎年続くインド研修やインド料理の先生を招いた勉強会を経て、研究と開発を重ねたインド料理シリーズが誕生したのです。

研修では食べ歩きはもちろん、家庭で作り方を学ぶことも。「カレーの奥深さをもっと知って欲しい」と齋藤さん

 

本場の味にこだわるあまり材料も作っちゃいました

驚きのラインアップを誇るインド料理シリーズ。本場の味を出すために必要な食材は、日本ではなかなか手に入りにくいのが実情でした。『ないのなら、作ってしまえ』とばかりに、一部の材料を地元で生産してもらうという、インド人もびっくりの解決法でクリアしています。「まずひとつは南インドの料理には欠かせない、柑橘系のカレーリーフ。バジルと同じで、生と乾燥では香りの出かたが全然違うんです。だからどうしてもフレッシュなものが欲しくて。宮城でも育てられないのかなと色々なところに相談したら、一人手を挙げてくれた蔵王の米農家さんがいて。今ではうちがハウスを1棟提供して育ててもらい、毎年収穫しています」
「もうひとつがインドのチーズのパニールで、カッテージチーズをぎゅっと固めたようなものなんですが、これも日本ではいい品質のものが手に入らなかったんです。そこで蔵王の酪農センターに作ってもらえないか掛け合ったら、『おもしろいですね~』とのってきてくださって(笑)まずは私たちが実際に作ったものを食べてもらい、そこから試作の繰り返し。固さが違うとか、ちょっと塩分が強すぎるなぁ…とか、納得のいくものができるまで1年近く時間が掛かりました」と笑いながら話す齋藤さん。『インドっぽい』カレーじゃなくて、やるからには『本物のインドカレー』という熱意にひかれた生産者との出会いが、にしき食品の本気のインドカレー作りを支えているのです。

数あるスパイスや食材を組み合わせ、レシピを開発。これまで作ったレシピ数は3000種類以上におよぶ

 

ココナッツミルクとの相性がいいカレーリーフ

 

置きたい・見せたい愛されパッケージデザイン

ララガーデン長町内に昨年オープンした直営店や本社工場直売所のほか、仙台駅構内のみやげ処など、県内のさまざまな場所で目にするようになったにしきやブランド。そんな中、「自社ブランドの商品を置いてくれる取引先は、ライフスタイル提案型の雑貨屋さんなどが増えていて、売り上げもとてもいいんですよ。そういったお店は他社の製品と同じように陳列されるんじゃなく、価値のあるものとしてセレクトしてもらえる場所。私たちの商品を置いてもらえる場所としてはとてもいい環境なので、食品の会社としては珍しく生活雑貨の見本市であるギフト・ショーに出展したところ、たくさんの反響があってお取引につながっているんです」と齋藤さん。
味はもちろんのこと、バイヤーから選ばれる大きな理由のひとつは、商品の第一印象が決まるパッケージデザインの良さにあります。「パッケージも商品の売りの一つ。中身も大事だけど、外側も同じくらい大事なもの。『さぁ食べよう』って気持ちが高揚するように、そして何なら飾っておいても恥ずかしくないぐらいのパッケージでありたいなと思っています。写真でイメージを伝えるのは簡単なことですが、あえてイラストなどでいかに中身を表現できるのか、ということにもトライ。そういったアプローチが女性を中心に受け入れられているようで、とくにレモンクリームチキンカレーは、パッケージを見て手に取ってくださったという方がすごく多いですね。」
すべてのパッケージを手掛けているのは仙台のデザイナー。デザイン前には実際に試食をしてもらい、食べた時の印象や食べるシチュエーションのイメージをデザインに落とし込んでもらっているのだそう。「僕らの無理難題をいつも上手に受け止めてくれる。」と絶対的な信頼を寄せ、一緒に作り上げたパッケージはイラストの愛らしさや色の組み合わせの小技が効いていて、ギフトにもぴったりなものばかりです。

 

10名ほどいる開発部の試作チームの半分が女性。
一つの案件を最初から最後まで一人で担当し、商品を作っていく

 

岩沼から発信する全国に通用するものづくり

『こんにちは、いらっしゃいませ!』。にしき食品の本社を訪ねると必ずと言っていいほど、すれ違う社員一人ひとりから気持ちのいい挨拶を掛けられます。齋藤さんはじめ、働いている人たちの楽しそうでイキイキとした表情もとても印象的。「コストを下げて大量生産するために、工場を24時間フル稼働するところも多いですが、うちは夜勤一切なし。従業員が働きやすい環境であることが、いいもの作りにつながると考えています」と齋藤さんはきっぱり。また、産休を取得して復帰する女性スタッフも多いそうで、「食品業界には、購買に直結する女性の感性は必要不可欠。長く働いて欲しい」と語ります。
「東京にいなきゃ、いいものが作れない訳じゃない。ここから全国に通用するもの作りをして、『どこにある会社?』って聞かれたら、胸をはって『岩沼市の会社です』と言いたいなって思います」と齋藤さん。現在は自社ブランド商品のリニューアルほか、離乳食から通常食に移行する期間の子ども向けメニューや需要が高まっているハラール認証商品の製造など、「マーケットが小さくたっていい。にしき食品だからこそ本気でできることをやりたい」と、さまざまなプロジェクトが進行中。開発と営業、販売が一丸となって、レトルト食品と真剣に向き合う会社が作る商品に、これからもご注目を!

 

 

※こちらの記事は、2018年3月31日河北新報朝刊に掲載されました。


 

にしき食品

  岩沼市に本社工場をかまえる、レトルト食品専門メーカー。自社のオリジナルブランド「にしきや」ではカレーを中心に、パスタソースやスープ、おかゆなどの商品を展開。岩沼本店(工場直売所)、ララガーデン長町、自由が丘、二子玉川に直営店がある。 http://www.nishiki-shokuhin.jp/

 
 
撮影 小野寺真希

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小原 瞳
仙台生まれ、仙台育ちのフリーライター・コーディネーター。人の手から生まれる道具や玩具、それを生み出す作り手に惹かれ、さまざまな工房を訪ねる日々。地元にあるいいもの、おいしいものをもっと発掘すべく、県内のあちこちに出没しています。

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antennasia san (vocal) とNerve (track) により1999年に結成。ブリストル・サウンド、ダブなどをルーツとする。アルバムごとに音楽性の幅を広げつつ、一貫して、sanのヴォーカルを軸としたトリッピーなサウンド/ベース・ミュージックを追求している。soundcloud